【ペーパー】

COP23ボン会議の結果と評価
~パリ協定のルールブックづくりに一歩前進。目標引上げ議論が始まる~

2017年11月27日
特定非営利活動法人気候ネットワーク

 

2017年11月6日から18日まで、ドイツのボンにて国連気候変動ボン会議が開催されました。ボン会議では、次の会議体にてそれぞれ合意された議題に基づいて議論が行われました。

  • 国連気候変動枠組条約第23回締約国会議(COP23)
  • 京都議定書第13回締約国会合(CMP13)
  • パリ協定締約国会合第1回第2部(CMA1-2)
  • 実施に関する補助機関第47回会合(SBI47)
  • 科学上及び技術上の助言に関する補助機関第47回会合(SBSTA47)
  • パリ協定に関する特別作業部会(APA1-4)

概要(抜粋)

ボン会議では、パリ協定の実施指針(ルールブック)の交渉の土台となる文書を作成するとともに、2018年に行われる世界の気候変動対策の進捗状況のチェックをする促進的対話(タラノア対話)の進め方や、2020年までの行動の引き上げのプロセスなどについて合意しました。これらによって、ボン会議は、パリ協定の実施に向けて、その準備作業を一歩前進させました。しかし、今回の合意は、今後の交渉の土台と対策強化のプロセスを作ったに過ぎません。パリ協定のルールブックに関しては、多数の困難な論点について、現状では、異なる主張が並べられている状況です。ここから1年後のCOP24カトヴィツェ会議で一つの合意を作り上げるため、交渉の加速が求められます。

タラノア対話は、2018年1月から始まり、12月のカトヴィツェ会議まで実施されることになりました。この対話を通じ、それぞれの国が、温室効果ガスの大幅な排出削減の実現に向けて、2020年までの自国の行動と支援、そしてさらには2030年目標と支援を引き上げていくことが求められます。日本もまた、この対話に向けて、2030年目標の引き上げ準備を始めなければなりません。

なお、今年6月にパリ協定からの離脱の意向を表明した米国トランプ政権の悪影響を懸念する声もありましたが、ボン会議は、通常通りに粛々と進められました。逆に、会議場の横の「WE ARE STILL IN(それでも我々は留まる)」のブースでは、パリ協定を支持し、自ら行動すると宣言する米国内の自治体、ビジネス等のリーダーたちによるムーブメントが大きな存在感を示していました。また会議中には、27の国や地域による「脱石炭へ向けたグローバル連盟」が発足し、政治的にも脱炭素化への動きの加速が顕著に見られ、この動きは止まらないことが改めて確認されました。

日本はこれらの積極的な動きの中でほとんど存在感がありませんでした。国内外の石炭火力発電推進方針はボン会議でも厳しく批判されました。今後日本は、トランプ政権を口実にするのではなく、地球温暖化対策計画と一体的にエネルギー基本計画を改め、石炭や原発から再生可能エネルギーへの大胆なシフトを通じて、脱炭素化へ舵を切っていかなければなりません。……

 

ペーパー全文

【ペーパー】COP23ボン会議の結果と評価~パリ協定のルールブックづくりに一歩前進。目標引上げ議論が始まる~(2017/11/27)

 

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