<プレスリリース>
パリ協定:トランプ政権の離脱宣言に抗議
~日本は世界とともに、パリ協定実施のための対策強化を~
2017年6月2日
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
代表 浅岡 美惠
6月2日未明、トランプ大統領は、「パリ協定」からの米国の離脱を表明した。気候変動は地球規模での現在及び将来世代に対する深刻な脅威である。その影響は既に現実のものとなり、加速的であることが確認されている。パリ協定は、1997年の京都議定書採択を含めた長い交渉過程を経て、工業化前からの世界平均気温上昇が2℃を十分下回る水準に抑制する(1.5℃も目指す)ことを目的とし、化石燃料から脱却し、再生可能エネルギーによる新たな経済社会を構築していくことを促す歴史的な国際合意である。
米国は、世界第2位の温室効果ガスの大排出国であり、歴史的にも最も重い排出責任を負う国である。2001年に京都議定書の批准をとりやめるなど、国際交渉の進展を妨害してきた経緯があるが、パリ協定の採択、発効においては、中国とともに、多大な貢献をしてきた。トランプ大統領のパリ協定からの離脱の選択は、こうした世界の気候変動への真摯な取り組みに対する暴挙であり、国際社会における米国への信頼を損ない、中・長期的に米国の経済をも損なう愚挙というほかない。速やかに撤回すべきである。
パリ協定は、昨年11月に発効し、これまでに148ヵ国・地域が締結している。締約国はもとより、米国内の州などを含む世界の地域や事業者、市民のレベルでも、パリ協定の長期の目的・目標を共有し、世界的規模で再生可能エネルギーへの転換や脱化石燃料時代に向けた経済の仕組みへの転換の動きが始まっている。先般のイタリアでのG7会合でも、日本を含む他のG7国はパリ協定の迅速な実施を確認したところである。さらに、中国とEUは連携して、米国離脱後のパリ協定の実施の推進に向けてリーダーシップを示しているが、世界の協力体制の強化が求められる。
ここで問われるのは、日本の対応である。政府は、パリ協定の受諾にあたって、内閣の最重要課題として地球温暖化対策に取り組むと表明しているものの、その前提となるエネルギー政策において、原子力やエネルギー多消費産業の擁護から、矛盾を多く残している。米国の離脱を奇禍として国内対策を後退させようという動きを許してはならず、米国の復帰を待つことなく、日本の気候変動目標及び対策を抜本的に強化し、パリ協定の目標達成に向けた義務を果たすべきである。
プレスリリース(本文)
パリ協定:トランプ政権の離脱宣言に抗議 ~日本は世界とともに、パリ協定実施のための対策強化を~(2017/6/2)
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