2026年5月1日
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
代表 浅岡 美恵
脱化石燃料に関する初の国際会議
2026年4月24日から29日にコロンビアのサンタマルタで「化石燃料からの移行に関する第1回国際会議」が開催された。コロンビアとオランダの共催によって開催されたこの会議は、化石燃料の生産そのものに焦点を当てた初めての国際会議となる。化石燃料からの移行に前向きな57カ国及びEUが参加し、交渉ではなく共通の目的のための協力に向けた対話を行った。これらの参加国は世界全体のGDPの3分の1を占め、アメリカと日本を除くG7諸国や、ベトナム、フィリピンといったAZEC(アジア・ゼロエミッション共同体)参加国も含まれる。
国際交渉COP進展の後押しへ
29日の閉会式では、第2回会議が2027年にツバルとアイルランドの共催で開催されることが発表された。また、第2回に向けた3つの作業部会—(1)化石燃料の生産や輸出に焦点を当てた各国の脱化石燃料ロードマップのデザイン、(2)マクロ経済依存や金融制度の改革、(3)化石燃料生産者とその消費者の連携と化石燃料フリーな貿易システムの構築—を設置すること、化石燃料からの移行に関する政策立案に科学的知見から提言を行う「グローバルなエネルギー転換のための科学パネル(The Science Panel for the Global Energy Transition, SPGET)」が立ち上げられたこと等が成果として取りあげられた。これらの成果は報告書にまとめられ、6月までに公表される予定である。
化石燃料からの移行に関してグローバルな対話を行う場に60カ国に迫る国々が参加し、意見を交わし、結束と意欲を示したことで、国際社会は、COP28で約束した化石燃料からの移行を現実のものとするための重要な一歩を踏みだした。この会議は国連気候変動枠組条約のプロセスを補完するものと位置付けられている。例えば、作業部会の一つであるロードマップについても各国のNDCとの連携が示唆されていることから、国連の気候変動交渉の進展を推し進めることも期待したい。
また、事前の意見募集から会議開催までの3か月にわたるプロセスには環境NGO、労働組合、先住民族、アフリカ系の人々、女性、若者・子どもといった多様な主体も参加し、化石燃料からの移行に必要とされることを提案した。これら市民社会からの貢献を報告書に取り入れることも求められる。
気候変動やエネルギー移行を議論しないG7環境大臣会合
G7議長国であるフランスは、化石燃料からの移行会議にあわせ、各国に先駆けて脱化石燃料ロードマップを発表し、2030年までの脱石炭(2027年までに残る2つの石炭発電所閉鎖)、2045年までの脱石油、2050年までの脱化石ガスを達成するという目標を再確認した。しかし、4月23日~24日にパリで開催されたG7環境大臣会合では、環境に関する喫緊の課題や、この重要な年における共通の優先事項について意見交換を行うことを目的としながらも、採択された7つの宣言には気候変動やエネルギー移行に関する議論は見当たらない。かつてはG7サミットにおける合意がCOP等の気候変動の国際交渉をリードするなど相互に影響を与えてきたが、今回、環境に直結する極めて重要な課題である気候危機に関する成果を出せなかった。これでは、昨年のG7カナナスキス・サミットに続き、G7として求められるリーダーシップを示したとは言い難い。
日本は脱化石燃料に足踏みしている場合ではない
上述のとおり、化石燃料からの移行国際会議にはアメリカ、日本を除くG7諸国が参加している。来る6月のG7首脳会議に際しては、今回の会議の結果を受け、化石燃料から再生可能エネルギーへの公正な移行こそが気候変動対策としてもエネルギー安全保障としても重要であるという認識を改めて共有し、具体的なコミットメントを宣言してもらいたい。
日本政府は、世界的なエネルギー危機に直面する今、石炭火力の抑制策を解除するなど世界の潮流とは逆行する方針を打ち出している。しかし、化石燃料依存構造を維持継続することは気候変動を加速させるばかりではなく、富の流出と国力低下を招くことにもなる。今後、再生可能エネルギーへの公正で迅速な移行に取り組む決意と具体的な貢献を国際社会に提示することが求められる。
参考
化石燃料からの移行に関する第1回国際会議(外部ウェブサイト)
フランスの脱化石燃料ロードマップ(フランス政府によるプレスリリース)
G7環境大臣会合で採択された宣言は次の7つの宣言である:「環境トラックの成果(Environment track outcomes)」、「砂漠化と安全保障(Desertification and Security)」、「違法・無報告・無規制(IUU)漁業に対する結束(Mobilizing against IUU fishing)」「海洋保護区(MPA)管理のための協力枠組み(Marine Protected Areas Management Alliance)」、「自然と人々のための資金調達枠組み(Nature & People Finance Alliance)」「不動産・住宅におけるレジリエンス強化のためのパートナーシップ(Real Estate Resilience for Prosperity Partnership)」「水質汚染への対処(Addressing Water pollution)」
https://www.ecologie.gouv.fr/en/press/g7-environment-ministers-meeting-progress-6-areas-boosting-collective-action
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