2026年11月5日
特定非営利活動法人気候ネットワーク
代表 浅岡 美恵

2026年11月9日〜20日にかけて、トルコ・アンタルヤで国連気候変動枠組条約第31回締約国会議(COP31)が開催される。

気温上昇が一時的に1.5℃を超過する「オーバーシュート」は避けられないという見方が広がるなか、ヨーロッパでの熱波や日本の豪雨、ネパールの大規模洪水など、気候災害は激甚化している。COP開催に先駆け、UNEP(国連環境計画)は、9月にオーバーシュートに関する特別報告書を発表し、さらに10月には排出ギャップレポートを発表した。これら2つの報告書は、オーバーシュートは避けられないが、早急に1.5℃未満に戻す経路をとるべく排出削減と適応に取り組む必要があること、NDC(各国の排出削減目標)をさらに強化する必要があることを示した。

COP31議長国トルコおよび交渉議長国オーストラリアは、COP31を「実施のCOP」「未来のためのCOP」と位置づけ、行動の加速を重視している。1.5℃目標を堅持し、各国や非国家アクターの目標強化や、行動の加速を促せるかがCOP31の成功の試金石となる。

COP31交渉に求められること

気候ネットワークでは、気候危機を食い止めるために、COP31交渉において最新の気候科学と気候正義に基づき、次の内容が実現されることが必要であると考える。

1.5℃目標
  • オーバーシュートは不可避と予測されるなか、1.5℃と2℃では自然環境や社会への影響は劇的に異なる。オーバーシュートの規模と期間を抑え、1.5℃目標を堅持する決意が合意文書に盛り込まれること。
緩和・化石燃料からの脱却
  • 化石燃料からの脱却と再生可能エネルギーへの移行に向け行動する決意がCOP合意に盛り込まれること。また、各国の脱化石燃料ロードマップの策定の機運が高まること。
  • 2026年以降の緩和作業計画(MWP)が、緩和の野心と実施の具体的な行動につながる役割を果たすようになること。
  • 議長国トルコが掲げる「2035年までに電化率35%」目標に賛同が集まること。なお、気候変動対策に貢献し、経済効果をもたらすためには、原子力や火力ではなく、再生可能エネルギーによる電化を進めるべきである。
公正な移行
  • 国際協力を通じて公正な移行の実施を促進するため、COP30で合意した公正な移行メカニズムを設立し、具体的な仕組みの構築を進め、早期の運用化を目指すこと。
  • 共通だが差異のある責任とそれぞれの能力(CBDR-RC)の原則に基づき、先進国主導で途上国の公正な移行の実施を支援すること。
気候変動の悪影響への取り組み
  • 気候資金やグローバル・ストックテイク等の議論において、「損失と損害」を緩和や適応と並ぶ独立したテーマに据え、取り組み強化を促すとともに、「損失と損害基金(FRLD)」の拡充に向けた機運が高まること。
  • 適応に関する世界全体の目標(GGA)に関する議論が、適応資金の議論も含め前進すること。

日本政府は実効性のある化石燃料からの脱却の道筋を示すことが望まれる

日本政府は世界的なエネルギー危機への対応策として、「パワーGX」で化石燃料の調達、利用を長期にわたり維持強化する方向性を強く打ち出している。しかし、こうした方針はエネルギー需給における新たな脆弱性を固定化しかねず、気候変動対策を後退させることにもなりかねない。

COP31においては、議長国トルコが立ち上げた電化目標への賛同を表明し、再生可能エネルギーの拡大による電化を推進すること、また、COP30議長がリードする脱化石燃料ロードマップの議論等への積極的な参加を通じて、COP28UAEコンセンサスで合意された「化石燃料からの脱却」「再生可能エネルギー3倍」「エネルギー効率倍増」の達成に向けた貢献が望まれる。自らも化石燃料フェーズアウトと省エネ、再生可能エネルギーへの公正な移行に向けて、年限や目標を伴った実効性のある具体的な道筋を国際社会に示すことが、国際交渉の前進にもつながる。

加えて、世界全体での気候変動対策の強化にあたっては、途上国が必要とする気候資金に十分かつ適切にアクセスできるようになることが重要である。気候資金の議論、とりわけ無償資金協力の役割や機能、アクセスの改善等の議論に貢献するとともに、気候資金へのコミットメント表明を期待する。

以上

参考

COP31アンタルヤ会議 特設ページ

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