7月12日、武豊町の環境問題を考える会、国際環境NGO FoE Japan、気候ネットワークの3団体は、経済産業省に対して、JERA武豊火力発電所(愛知県知多郡武豊町)で今年1月31日に発生した火災・爆発事故に関する事故原因が究明されておらず、住民への説明も十分に行われていないとして、同発電所の再稼働を認めないこと、石炭火力発電所へのバイオマス混焼を推進しないことを求める要請書を提出しました。

要請書本文

2024年7月12日

経済産業大臣
齋藤 健 様

JERA武豊火力発電所の火災・爆発事故と再稼働に関する要請書

今年1月31日、JERA武豊石炭火力発電所(愛知県)で火災・爆発事故が発生しました。

武豊火力発電所5号機は、石炭とバイオマス燃料(木質ペレット)を混焼している出力107万kWの大型火力発電所です。事故は、ベルトコンベアから木質ペレットを一時貯蔵する場所(バンカA)に落とすための設備(投炭装置)から発火・爆発したものと説明されています。火はベルトコンベア経由で延焼、倉庫に近い隣の建物にも燃え移り、約5時間にわたって燃え続けました。住宅地の中にある発電所での爆発事故により、周辺住民の方々が受けた衝撃と恐怖ははかりしれません。

武豊火力発電所は、運転開始した2022年8月からわずか1年半の間に、3回も火災事故を起こしています。過去の事故の原因および対策は明らかにされていません。

事故から4カ月近く経過した5月25日、JERAは、ようやく住民説明会を開催しました。しかし、JERAの説明は十分住民の疑問に答えるものではありませんでした。とりわけ、着火源となった投炭装置の不具合がなぜ発生したのか、設計ミスなのか施工ミスなのか、または人為的なミスなのかについては、JERA側も「不明」としており、肝心な事故原因の究明には至っていません。また、同発電所では、石炭と木質ペレットが同じ屋内式の貯炭場で保管され、同じベルトコンベアで運搬されていることも含め、住民から安全性への疑問の声があがっています。こうした状況において、武豊火力発電所の再稼働を認めるべきではありません。

近年、各地でバイオマス発電所における火災・爆発事故が頻発しています。木質ペレット等のバイオマス燃料は、脱炭素策の一環として石炭火力発電所で混焼あるいは専焼されることが増えていますが、保管状況によっては発酵し、自然発火を引き起こすリスクがあることが明らかになってきました。木質ペレットのみならず、PKS(パーム椰子殻)の事故も発生しています。

また、森林由来のバイオマス燃料の需要拡大は、海外の森林減少・劣化の原因となっています。日本は大量の木質ペレットなどを海外から輸入していますが、生産国では天然林の伐採による生物多様性の破壊も生じています。私たちは石炭火力発電所へのバイオマス混焼によるバイオマス燃料の需要拡大は、脱炭素とは言えず、むしろ森林という貴重な炭素ストックを破壊することにつながると考えています。

よって、私たちは以下を要請します。

1.JERA武豊火力発電所の再稼働を認めないこと。
2.石炭火力発電所へのバイオマス混焼を推進しないこと。

武豊町の環境問題を考える会
国際環境NGO FoE Japan
気候ネットワーク

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