【プレスリリース】
日本の大口排出源の温室効果ガス排出の実態
温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度による 2018年度データ分析
~大口排出事業者の抜本対策がなければ2030年46%削減は不可能~
2022年6月13日
特定非営利活動法人気候ネットワーク
代表 浅岡美恵
2022年3月18日、政府は、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度により、2018年度の大口排出事業者の温室効果ガス排出量を公表した。気候ネットワークで分析したところ、2018年度の日本の温室効果ガス排出量の50%を135の事業所が排出し、全て電気業(発電所)、鉄鋼業、セメント製造業、化学工業、石油精製業、紙製造業の6業種に属していることが明らかとなった。また、76発電所の排出量が日本の排出の約3分の1を占め、その半分(日本全体の17%)が37の石炭火力発電所から排出された。
また、日本全体の約3分の1を占める火力発電所の内訳では、石炭火力の排出が火力発電の半分以上を占める。また、この大半は排出量100万t-CO2以上の37の石炭火力発電所が占めることも明らかになった。
日本では大口排出事業者の対策は産業界の自主行動計画に任され、計画が達成されても2030年46%削減に必要な温室効果ガス排出総量を上回る。この抜本強化をしないと、たとえ中小企業や家庭が排出ゼロになっても2030年目標すらが達成できない。本分析を通じて、2030年目標の引き上げ、石炭火力ゼロ目標と規制、カーボンプライシングの導入、再エネ優先化の送電線ルールの変更などの政策が不可欠であるとまとめた。
また、本制度は2006年の開始から13年目となるが、制度上の課題も指摘している。情報開示後、毎年のようにデータの不備が見つかり、今年も約5000万トンの欠落なども見つかった(その後データは個別に開示してもらった)。その背景には、公表されるデータが一部で、省エネ法によって提出された燃料別のデータなどが不開示であることや、行政の検証方法などに問題があることがあげられ、これらの改善が求められる。
プレスリリース本文
日本の温室効果ガス排出の実態 温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度による2018年度データ分析
データ分析レポート
日本の温室効果ガス排出の実態 温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度による2018年度データ分析(本文)
参考ページ
地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度における平成30年度温室効果ガス排出量の集計結果の公表について
これまで気候ネットワークによるデータ分析
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