2002年1月15日

CDM理事会へ、CANが申し入れ書を提出

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気候ネットワーク 代表 浅岡 美恵

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11日(日本時間の12日未明)、14日からドイツのボンで開催されているCDM理事会(※)の開催に向けて、気候行動ネットワーク(Climate Action Network (CAN)、地球温暖化に取り組む世界の環境NGOのネットワークで現在約320団体以上が参加)が共同で、別紙の申入れ書を、CDM理事会の議長(ジョン・アッシュ氏、アンティグア・バーブーダ)と副議長(岡松壯三郎氏、日本)に送付いたしましたのでお知らせいたします。申入れ書では、CDM理事会へのオブザーバー出席を、マラケシュ・アコードの規定にある通りに認めていないことへの問題を提起し、出席を認めることを求めています。
(※)京都議定書のもとで定められたCDM理事会は、CDM(クリーン開発メカニズム)を監督する機関として、先の2001年11月のマラケシュCOP7で設立されました。COP7直後に開催された第1回会合では、岡松壯三郎・経済産業研究所理事長が副議長として選出されています。第2回会合は、14~16日の日程でドイツのボンで開催されています。CDM理事会では、今後CDM事業の手続き方法や、ベースライン、モニタリングなど、CDMの在り方に関する重要事項について議論することになっています。

(参考)

CDM理事会について(英語)
気候行動ネットワーク(Climate Action Network)について(英語)又はこちら

 

申し入れ書

2002年1月11日(日本時間・12日未明)

岡松壯三郎 CDM理事会副議長 殿

この申入れ書は、CAN(気候行動ネットワーク=世界の320以上のNGOが参加するネットワーク)が、CDM理事会のメンバーの方々に対して、来たるCDM理事会会合の非公開性に対して強く抗議するために送付するものです。私たちは、CDM理事会会合がインターネット網を通じて中継されることは、会合に参加することができない多くの人々にとって会合の情報にアクセスできる手段になると受け止めています。しかしながら、インターネット中継は、オブザーバーや利害関係者の直接参加の代わりとしてではなく、それに追加して行われるべきものと考えます。

マラケシュ・アコードのCDMの文書の16段落目には、「CDM理事会会合は、理事会がそうでないと決定した場合を除いて、全ての締約国と気候変動枠組条約が認可した全てのオブザーバーと利害関係者が傍聴者(オブザーバー)として“出席”することを認めること(強調追加)」と規定しています。インターネット中継は、会合を聴くための便利なツールとなるかもしれませんが、オブザーバーの“出席”とはいえず、それに取って代わるものとはなりえません。

他の会議の場での経験からもわかっている通り、利害関係者やその他の関心をもつ団体が出席することは、単にインターネット中継のみであったら存在し得ない“意見の交換”の機会を提供することになります。これによりオブザーバーは、最低でも、会合の休憩時間を利用して公式参加者に自らの見解を伝えることができます。また最近の会議では、オブザーバーによる発言が限られた時間で認められるようにもなっています。このような活発な参加は大変建設的なものであり、公式な意思決定の質を高めるとともに、市民社会の支持を拡大するものとなっています。

CDM理事会会合へのオブザーバー参加を認めるという決定は、長い時間をかけて丹念に交渉されてきた結果です。これを変えてしまうことは、気候変動枠組条約の今後の会議全てに対して危うい前例を作ることになります。そうなれば、環境関連機関全体とってダメージになるだけでなく、市民社会によって得られてきた環境ガバナンスの公開性と民主性向上に関する進展を実質的に後戻りさせてしまうことになります。

私たちは、補足的な位置付けとしてのインターネット中継を支持する一方で、CDM理事会には、オブザーバーの出席を否定するような決定を撤回するよう強く求めます。

以 上

気候行動ネットワーク(Climate Action Network(CAN))
Grace Akumu
Climate Network Africa.(CANアフリカ)
Mie Asaoka(浅岡美恵)
Kiko Network, Japan (気候ネットワーク、日本)
Raphaelle Gauthier
French Climate Action Network(フランスCAN)
Joanna Krinn
US Climate Action Network(アメリカCAN)
Karla Schoeters
Climate Network Europe(CANヨーロッパ)
Faouzi Senhaji
CAN-Maghreb(CANモロッコ)
Richard Sherman
South African CAN(南アフリカCAN)
Gurmit Singh
CAN South East Asia(CAN東南アジア)
Youba Sokona
CAN West Africa(CAN西アフリカ)

 

(気候ネットワーク・暫定訳)

 

問合せ

特定非営利活動法人 気候ネットワーク
URL:http://www.kikonet.org/