2002年2月13日
地球温暖化対策推進本部決定に際して
気候ネットワーク
代表 浅岡美恵
1月24日の中央環境審議会答申以後、京都議定書の批准と温暖化防止のための国内制度を巡る準備は、省庁間だけの密室で進められ、本日13日、地球温暖化対策推進本部(本部長・小泉純一郎首相)が開催され、「京都議定書の締結に向けた今後の方針」が決定された。
「京都議定書の締結に向けた今後の方針」(推進本部決定)について
~「新大綱」策定と「計画」作成の過程について~
「方針」では、議定書承認に必要な担保法成立に先立ち地球温暖化対策推進本部を開催し、新たな大綱(「新大綱」)を策定するとされている。しかも、決定される「新大綱」は、「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案」(改正地球温暖化対策推進法)に基づいて閣議決定される「京都議定書目標達成計画」の基礎とされることが示されている。
これは、国会に法案を提出する前に、京都議定書の目標達成のための国内政策を示す大綱の見直しを、再び市民参加がないまま決定してしまうことを意味しており、事実上「計画」の内容を「新大綱」によって事前に決めてしまうことになりかねないもので、法律改正後の「計画」作りを形骸化させるものである。また、法律の下に設置される「地球温暖化対策推進本部(仮称)」が、法律改正後に「計画」の案を作成するプロセスにおいても、市民の参加が全く記されていない。
このように、実施主体となる市民が関与できない密室での意思決定は、上からの政策の押し付けに他ならならず、市民に取り組みの強化を促すことに逆行する手法である。このようなプロセスによって、抜本的な温暖化対策の導入や産業界の取り組みを先送りするようなこととなれば、経済活性化にも逆行しかねない。
中環審答申から本日までのプロセスについて
気候ネットワークは、中環審答申の出された1月24日にプレスリリースを発表し、「地球温暖化対策推進大綱を見直し、新たな「京都議定書目標達成計画」を策定するプロセスにおいては、情報を公開し、市民参加のもとで進め、市民の意見を反映させること。98年の大綱策定時のように、官僚によって密室ですべて準備され、国会にはかられることもなく、地球温暖化推進本部で決定してしまうという不透明なプロセスを繰り返してはならない。」と警告したが、結局この間、再びこのような不透明なプロセスが繰り返されていることは極めて遺憾である。
今後の「新大綱」・「計画」策定のプロセスにおける市民参加と透明性の確保を強く求める。
「京都議定書目標達成計画」の内容について
「方針」では、「計画」の内容の案が示されているが、少なくとも中環審答申に盛り込まれた重要な項目を落とすことのないよう、改めて1月24日のプレスリリースで記載した以下の内容を再掲する。
「京都議定書目標達成計画」は改正地球温暖化対策推進法に基づく計画として明確に位置付け、計画には本答申に含まれている以下の項目は少なくとも全て盛り込むこと。
- 2010年の温室効果ガス別・分野別の排出削減目標量・吸収源対策の目標量
- 国民各層一体となった取組を推進するための国、地方公共団体、事業者及び国民がそれぞれ果たすべき役割
- 個々の対策の我が国全体での2010年における導入目標量、それによる2010年における削減・吸収見込み量
- 個々の対策の導入促進のための国等の具体的施策
- 国等の施策の導入時期などを時間軸で可能な限り明らかにした工程表
なお、工程表は、第1ステップから早め早めに政策・措置を実施するスケジュールとすること。
問合せ
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