共同プレスリリース
2009年3月27日

首相官邸の中期目標検討委員会のとりまとめに際し、
環境NGOが一斉に批判

 

27日午後、首相官邸の中期目標検討委員会(座長・福井俊彦 前日本銀行総裁)が開催され、これからの日本の温暖化対策の重要な道筋を描くものとなる中期目標についての複数の選択肢の再構築がなされ、発表された。
 これについて、地球温暖化問題に取り組むNGOの代表が、気候行動ネットワーク(CAN)の麻生太郎首相宛の書簡*を携え、そろって共同緊急記者会見を開き、同検討委員会の検討状況について、厳しく批判するコメントを発表した。

主な指摘事項は、次の通り。

  • CO2排出量を90年より増やすオプションや京都議定書の目標値よりも低いオプションが提案されており、日本としての低炭素社会づくりへの意欲が全く見られない。科学の要請に反し、国際交渉の足を引っ張るもので、後ろ向きの提案である。
  • 対策費用ばかりが負担として強調されているが、対策をとらない場合の悪影響へ対応する費用との比較は全く考慮されていない。
  • 温暖化対策によるエネルギー削減で得をする費用が、モデルによっては過小評価されている。
  • 新たな温暖化対策費用追加による雇用創出効果、内需拡大の経済効果が全く考慮されていない。
  • そもそも温暖化防止のために何がどこまで必要なのかというバックキャスティングの発想で議論が行なわれていない。中期目標については、地球の平均気温上昇を産業革命前に比べ、2℃よりはるかに低く抑えるため科学的に整合した野心的な削減目標(1990年比25~40%削減)を掲げるべきである。
  • これまでの議論に市民社会の参加・関与が全く認められておらず、産業界の主張に偏った議論が行なわれている。今後のプロセスについては、市民・NGOの参加を確保すべきである。

 

【出席者】
 浅岡美恵(気候ネットワーク 代表)
 飯田哲也(環境エネルギー政策研究所(ISEP) 所長)
 早川光俊(地球環境と大気汚染を考える全国市民会議専務理事)
 樋口隆昌(WWFジャパン 事務局長)
【ビデオメッセージ】
 キム・カーステンセン
 (CANインターナショナル、WWFインターナショナル ディレクター)
【特別参加】シロベエ(MAKE the RULEキャンペーン実行委員長)

*世界と日本のNGO400団体で組織する国際NGO「気候行動ネットワーク・インターナショナル(CAN)」から、3月27日の首相官邸の中期目標検討委員会に対して出した麻生首相への書簡

以上

発表資料

 

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