2011年7月22日

消費者庁のエアコン性能表示に関するメーカー調査について

ヒートポンプ問題連絡会

去る7月20日、消費者庁が「エアコンの省エネ性能表示に関する調査について」を発表した(i)。

エアコンの性能表示のかさ上げについては、ヒートポンプ問題連絡会の発足のきっかけにもなった問題であり、一年前から追及してきた。この間、私たちの問題意識を民主党大河原雅子幹事長代理や福嶋浩彦消費者庁長官にも伝え、対応を要請してきた。

この度、福嶋消費者庁長官のリーダーシップのもと、消費者庁が消費者の立場を重んじて本調査を実施し、エアコン性能表示の実態を追及されたこと対して敬意を表したい。

今回の調査は、以下の二つの点で非常に意義のある調査であった。

1.メーカーの横並び体質と密室構造

昨年、ヒートポンプ問題連絡会が行ったメーカーに対するアンケートの回答では、11社中9社は風量操作を認めたものの、2社が明示していなかった。今回の消費者庁調査で、11社全社が実施していたことが明らかになり、全社が完全に横並びで消費者の信頼を失墜するような不正工作を行っていたことがわかった。本件が示唆するのは、メーカーは省エネ性能に関して密室で物事を決め、横並びで不正行為を行ってきたということである。

2.対象となる製品情報の公表

ヒートポンプ問題連絡会が行ったアンケートでは、対象となる製品情報を明らかにしたメーカーは一社もなかった。今回、消費者庁の調査により、製品情報まで独自に公表するとしたことは一つの前進である。

しかし、製品番号のみならず、風量操作の実態について東芝は「発表しない」、その他10社は「検討中」としており、具体的内容を公表されないのであれば消費者に対して非常に不誠実な対応であると指摘せざるを得ない。エアコンの場合、自動車燃費などと違って、消費者自身が性能測定することは困難であり、カタログ値との比較もできない。メーカーは詳細な製品情報を持っているはずであり、実態とのかい離状況なども把握しているはずである。各社速やかに、製品番号とともに実性能とカタログ値とのかい離実態を公開すべきである。

 

今回の消費者庁調査により、当連絡会が追及してきたヒートポンプ問題(ii)の構造の一部が明らかになってきた。しかし、これは問題の一部にすぎず、表示性能と実態性能とのかい離はむしろJIS規定上の条件によるところの方が大きい。そして、このJIS規定自体が、これまでメーカー団体(電気工業会)が主体となって非公開で作ってきた規定であり、その条件はメーカーに都合よく作られていると指摘することもできる(iii)。現在、ルームエアコンについてはJISの改正作業が行われているが、全面公開のもとですみやかに行われるべきである。また、ルームエアコン以外のヒートポンプについても同様の問題が指摘できる。“省エネ”や“節電”がこれまで以上に時代のニーズになっているからこそ、使用実態に見合った正しい表示や情報提供がなされるべきである。


(i)「エアコンの省エネ性能表示に関する調査について」消費者庁 2011年7月20日
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/110720premiums_1.pdf

(ii) 「ヒートポンプをめぐる諸課題と最近の動向について」2010 年8月19日 気候ネットワーク
https://www.kikonet.org/iken/kokunai/archive/pr20100819-2.pdf

(iii)「ルームエアコンの JIS 改正にあたっての意見書~カタログ値を実態に近づけるために大胆な JIS 改革を~」2011 年1月31日 ヒートポンプ問題連絡会
https://www.kikonet.org/iken/kokunai/archive/iken20110131.pdf

以上

 

発表資料

プレスリリース本文(PDF:138KB)

 

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