11月7日(金)、気候ネットワークは、鹿島パワーが計画する鹿島火力発電所2号機(茨城県鹿嶋市)の新設に対して意見書(環境影響評価方法書への意見)を提出しました。
意見書では、石炭火力発電は最新鋭の設備を用いたものでもCO2の大量排出を免れることはできず、事業には反対であるとしています。
また、CO2排出量に関連する具体的な情報を開示するべきだとし、事業に伴うCO2排出量の予測や評価においては、予測時期や算出の前提などを具体的に示すことを求めています。
意見書の主なポイントは以下の通りです。
1.石炭火力発電所の新設の問題について
- ?天然ガスの約2倍のCO2を排出する石炭火力の新設は、気候変動へ甚大な環境影響を及ぼす。よって、そのことを無視した本事業の実施には反対する。
- 今後新設される発電所は、少なくともLNG火力が達成している約350g/kwhというCO2排出原単位排出を実現できる水準を満たすべきである。
- 説明会(10/7)では、本発電所のCO2排出量は約0.8kg-CO2/kWhを想定し、既存の石炭発電所よりも排出量が少ないと回答していたが、2010年に環境アセスメントの中でCO2排出量の多さ(0.814kg-CO2/kWh)を指摘され、その後事業中止となった小名浜火力発電所(仮称)と大差ない。
2.CO2排出に関する取り扱いと「東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ」との整合性について
- CO2の排出について対応を実施することは、事業者の社会的責任として不可避である。
- 環境大臣の意見及び経産大臣意見では、「東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ」をふまえて環境対策を行うことを求めており、神栖市長もCO2排出量の削減を考慮することを求める意見を提出している。事業者は、取りまとめを踏まえて具体的にいつまでにどのような対応を行うのか、スケジュールを含めて明確にする責任がある。
3.CO2排出による環境影響に関する具体的な情報について
- CO2排出量や発電効率、送電端効率は環境保全の見地から検討するにあたって重要な情報であり、事業実施の是非にも関わる情報であると考えられるため、事業者はこれを早急に開示するべきである。
4.CO2排出量の予測、評価手法について
- 「実行可能な範囲」で環境負荷が「回避または低減」されているかについて、および「東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ」との整合性をどのように判断するのか、基準を示すべきである。
- 準備書においては、使用する石炭種別や設備稼働率など、算出の前提とする条件を明らかにすることを求める。
- 予測対象時期とされている「発電所の運転が定常状態となり、二酸化炭素に係る環境影響が最大となる時期」とは、具体的にどのような時期を想定しているのか明示するべきである。
- 予測には、稼働率の低下や燃料種の変更、経年変化による原単位の悪化およびCCSの導入などによる原単位の改善についても明らかにすることを求める。
5.情報公開について
- ?縦覧期間が終了しても閲覧できるようにし、公開期間中においても、印刷が可能にするなど利便性を高めるよう求める。
?鹿島火力発電所2号機新設について(環境影響評価方法書への意見)