2026年4月 24日
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
代表 浅岡 美恵

2026年4月14日、環境省は「2024年度の国内の温室効果ガス(GHG)排出・吸収量」を公表した。これによると、2024年度の森林などによる吸収量5,230万トンを差し引いた「排出・吸収量」は、CO2換算で約9億9,400万トンとなった。2023年度比では1.9%(1,880万トン)減少、2013年比では28.7%(3億9,950万トン)減少となり、昨年に続き2013年度以降の最低値を記録したと記されている。

政府は統計開始以降初めて10億トンの大台を下回り、全体としての減少傾向を継続していると説明する。しかし、2023年度のGHG排出量が前年度比で約4%減だったのに対し、今年度の削減率は前年比1.9%減と大きく縮小した。このままでは2030年目標の達成は極めて厳しくなることは明らかだ。

削減の主な要因として挙げられているのは、製造業の生産減少に伴うエネルギー消費の削減、および電源構成における再生可能エネルギー(再エネ)と原子力の割合の増加(合計で3割を超えたこと)である。しかし、再エネの割合は23.1%と低く、前年度比でわずかに0.2ポイント上がったにすぎず、化石燃料からの脱却が構造的に進んでいるとは言えない。原発回帰の傾向も、トラブル発生時や災害時に原発を停止させる際のバックアップ電源として火力を並走させることになるため、一時的なCO2の削減につながるとしても長期的な脱炭素にはつながらない。

また、代替フロン等4ガス(HFCs、PFCs、SF6及びNF3)の排出量については、2024年は前年よりさらに減少し、約3,220万トンだった。2023年比で4.8%、約160万トン減少したことになる。削減の要因としては代替フロン(HFCs)の排出量の減少による寄与が大きいとするが、HFCsはようやく減少し始めたばかりであり、こちらも排出ゼロに向けて構造的な転換が不可欠だ。2021年4月1日の施行から5年が経過する改正フロン排出抑制法の見直しの検討が始まると示唆されているが、単なるフロンの回収規制強化にとどまらずHFCsの消費・使用規制など抜本的転換が求められる。

森林等の吸収源対策による吸収量は約5,230万トンと、2023年度の約5,390万トンから減少。新たな吸収源として期待されるブルーカーボンは前年度とほぼ同量の約32万トンとされるが、日本の排出量をカバーするには程遠く、そもそも排出削減を森林吸収などに頼るべきでもない。

2026年4月1日から、日本版排出量取引制度が導入されたが、実質的な削減につながる仕組みとなっていない。一方、容量市場や長期脱炭素電源オークションといった既存の石炭火力発電所や原子力発電所を延命させる策を推し進めて、ホルムズ海峡の閉鎖によるエネルギー危機を受けて非効率石炭火力に対する制約をはずす決定まで行っている。

気候危機対応のみならず、安全保障上の観点や経済的観点もふまえて再エネを加速的に拡大する政策へと舵をきるべきである。

参考

環境省:2024年度の我が国の温室効果ガス排出量及び吸収量について(外部リンク

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