<プレスリリース>
気候ネットワークポジションペーパー発表 ~CO2 回収・利用・貯留(CCUS)は日本においてもアジアにおいても気候変動政策の柱にはなり得ない~(2023年1月18日)
2023年1月18日
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
代表 浅岡美恵
気候ネットワークは2023年1月18日、ポジションペーパー「CO2回収・利用・貯留(CCUS)は魔法の杖ではない:日本においてもアジアにおいても気候変動政策の柱にはなり得ない」を発行した。本ペーパーでは、CCUSの技術的・経済的リスクを含めた複数の問題を指摘する。
政府は脱炭素に向けた政策形成を進めるなかで、CO2の回収・貯留(CCS)への依存を高めている。CCSの長期ロードマップについては2022年5月に中間とりまとめが公表されており、その検討過程では従来の日本国内でのCCS 事業の実施に加えて、国外でのCCS事業の実施を目指す方針が示されている。この中間とりまとめを踏まえ、2023年の1月にも最終とりまとめが行われる予定となっている。
また、昨年12月に示された日本の今後10年のエネルギー政策を方向付ける「GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針」では、「脱炭素型の調整力の確保」のために追求する技術として、発電設備の高効率化や水素・アンモニア混焼/専焼の推進、揚水の維持・強化、蓄電池の導入促進、カーボンリサイクル技術と並んでCCSが例示されている。さらに政府は、2030年までにCCS事業を開始するための事業環境の整備、プロジェクト開発および操業支援とともに、法制度の整備を急いでいる。これに二国間クレジット制度(JCM)におけるCCS等の大規模プロジェクトの実施を盛り込むことで、国内外でのCCS 事業の推進を図ろうとしている。
本ペーパーは、2019年6月発表のポジションペーパー「CO2回収・利用・貯留(CCUS)への期待は危うい」以降に出されたCCS/CCUS に関する国際機関、国内外のシンクタンク等の分析を元に、CCSの国内実施を巡る現状を整理し、今後国内外でCCS事業を展開することで生じる問題点を指摘することで、日本のCCS政策の再検討を改めて促すものである。
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