東京都環境確保条例の太陽光発電の設備義務化の項目に関するパブリックコメントへの意見
2022年6月20日
「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)の改正について(中間のまとめ)」のパブリックコメントについて、気候ネットワークは以下の意見を用意しました。
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)の改正について(中間のまとめ)
URL:https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/basic/conference/council/public_comment/public_comment_jourei.html
募集期間:令和4年5月25日(水曜日)~ 同年6月24日(金曜日)
気候ネットワーク意見
該当箇所:21ページ4行目「再エネ設備設置の最低基準の新設」について
本条例に賛同する。P.13のデータによれば東京都のエネルギー起源CO2のうち65.5%が電力由来であるから、本施策によって太陽光パネルの設置が進めば、電力の再生可能エネルギーの割合が増え化石燃料の割合を減らすことができ、CO2削減に大きく寄与することができる。屋上への設置であれば自然地を損なうこともない。東京都が掲げる2030年までのカーボンハーフの実現は、1.5℃目標との整合から最低限やるべきことであり、本条例に加えて、既存の建築物にも太陽光パネルの設置を推進させるような施策が必要である。
該当箇所:全体 および 33ページ5行目「自家発電自家消費できる設備等の導入によるレジリエンスの向上」について
ロシアのウクライナ侵攻により、改めて資源を他国からの輸入に依存することのエネルギー安全保障上の危険性と脆弱さが浮き彫りとなった。世界的に化石燃料からの脱却がますます求められている今、エネルギー自給率向上とそれに向けた再生可能エネルギーの拡大は急務である。
太陽光パネル設置は、個人でエネルギー自給を進めることができるほぼ唯一の手段である。停電が生じた際に太陽光発電が設置されていれば自立運転機能を使用でき、地域の重要な防災の拠点ともなりうる。
国家単位のエネルギー安全保障や個人や地域の防災拠点の可能性という点でレジリエンスの向上を見込める本条例は、分散・自立型のシステムへの転換につながる着実な一歩と評価することができる。住宅での太陽光発電設置を全国に広めるためにも、東京都でまず本条例を施行することが極めて重要である。
該当箇所:35ページ1行目「制度の対象とする住宅の供給規模について」
本条例による太陽光パネルの設置義務は個人が対象であり条件の悪い住宅にも設置しなくてはいけないという誤解に基づく反対が見られるが、本条例の対象は年間の都内供給延床面積が合計2万㎡以上の分譲又は注文住宅を供給するハウスメーカー等の事業者である。これは都内大手住宅メーカー約50社が対象となる見込みであり、都内年間着工4.5万件のうち半数程度に相当する。エネルギー基本計画では2030年目標として「新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備導入」を掲げており、より普及を進めるためにも将来的な対象の拡大が必要である。
該当箇所:36ページ16行目「再エネ設備の設置に関する最低基準について」
設置義務量は事業者単位で総量として設定されている。例として年間供給棟数×85%(設置可能率)×2kW/棟(義務量)が挙げられているが、一般家庭における太陽光発電システムではおよそ4.5kWの容量が平均とされており、一棟につき2kWは大きな数字ではない。この例によれば設置可能な建物の約半数に4-5kWの設置を進めれば義務は十分達成できる。また設置可能率も区域によって算出されるとしている。事業者が柔軟に義務履行できるよう配慮された条例と捉えることができる。本条例で最初の段階を踏み、将来的には設置義務量を向上させていくことを求める。