2002年5月21日

京都議定書の批准承認(衆議院)にあたって(コメント)

気候ネットワーク 代表 浅岡 美恵

本日、衆議院本会議で京都議定書の批准が承認された。参議院での承認手続きがこれに続くことになるが、事実上、憲法61条における日本の批准に関する議会の承認が確定したことになる。米国が京都議定書から離脱した中では、日本の批准は京都議定書の発効に必須であり、早期発効をめざす世界の流れを加速するであろう。

私たちは、世界のNGOと連携して、京都議定書採択以来これまで、京都議定書の早期発効と国内対策の強化に取り組んできた。とりわけ日本は、地球温暖化防止京都会議(COP3)の議長国として、率先批准し、早期発効に貢献すべきであると主張してきた。日本政府は、京都議定書の詳細運用ルール採択をめぐる交渉で前向きであったとはいえず、地球温暖化抑止への国際社会の潮流に後押しされてきたものではあるが、本日の衆議院における批准承認によって、その責務の第一歩を踏み出したことを歓迎する。
 政府と国会は、速やかに批准の手続きを完了し、ヨハネスブルグ・サミットで京都議定書の確実なる遵守を宣言すべきである。

京都議定書の歴史的意義は、2008~12年の第1約束期間から、法的拘束力のある数値目標をもって、先進国全体として排出削減を実施することを約束したことにある。京都会議の議長国であり、かつ世界第4位の排出国である日本は、率先して第1約束期間の90年比6%削減目標を確実に達成し、さらに第2約束期間以降のより高い数値目標の設定、実施に前向きに取り組まなければならない。米国を京都議定書に引き戻し、途上国の取り組みを推進するなど地球規模での取り組みを加速させるためにも、日本など先進国がまず遵守することが求められる。
 また国内政策においても、京都議定書は、20世紀型のエネルギー多消費の経済構造から脱却し、国際競争力を高めつつ地球環境保全を図っていく道標となっていくものである。

京都議定書の批准に際して政府が提案した地球温暖化対策推進大綱を基礎とする目標達成シナリオでは、税制による温暖化対策推進等の実効性のある政策措置の導入が先送りされ、当面は、目標達成の多くを事業者や個人の自主的努力に依拠したものに止まっている。京都議定書の批准は即ち、脱温暖化に向けた社会・経済自体の転換を図ることである。

批准を契機として、私たちも、第2約束期間以降も見据えた温暖化対策税制等の整備や地域における多様で創造的な温暖化対策の実施に取り組む決意を新たにするものである。

 

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