NGO共同声明:
メガ3行に対して豪州ブルーウォーターズ石炭火力発電所への融資を行わないよう要請
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
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住友商事と関西電力が所有する豪州のブルーウォーターズ石炭火力発電所で、4億豪ドル(約300億円)の債務支払いが生じており[1]、8月にも邦銀が融資を行う可能性が指摘[2]されていることから、私たちはメガ3行(三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行)に対して同事業への融資を行わないよう強く要請します。また住友商事及び関西電力に対して同発電所の早期廃炉を求めます。
ブルーウォーターズ石炭火力発電所は、西オーストラリア州にある計466MW(233MW×2基)の亜臨界圧石炭火力発電所で、2009年に運転を開始した後、2013年に住友商事と関西電力が50%ずつ出資して買収しました。今回、融資を行ってきた豪州等の銀行が気候変動の問題から借り換えに難色を示していることから、邦銀による融資が期待されています。また、住友商事と関西電力による債権買取も検討[3]されています。さらに、住友商事と関西電力が同発電所へ石炭を供給する炭鉱の権益を新たに取得することも想定されています。[4]
日本のメガ3行は国連責任融資原則(PRB)に署名しており、パリ協定の長期目標に整合した投融資行動が求められます。パリ協定の長期目標を達成するためには先進国では2030年までに石炭火力発電所の運転を停止する必要があります。しかし、本事業に融資を行うことは、2030年以降も同発電所を運転することが前提になると想定されるため、パリ協定の長期目標と整合しません。他行が気候変動のリスクから融資を再考しているにも関わらず、融資を実行することは、国際社会の厳しい批判を受けることになります。現在、メガ3行の石炭火力発電に関する融資方針は、いずれも新規建設を融資対象から外すとした方針となっていますが、こうした既設発電所に対する借り換え融資にも適用するべきです。
また、住友商事は「2050年に住友商事グループのカーボンニュートラル化を目指す」「2035年を目途に、持分発電容量ベースで、石炭比率50%→30%」を目標としており[5]、同事業の延命化はこのような目標に逆行することになります。また、炭鉱の権益を新たに取得することは、炭鉱について「現在の持分生産量を上限とし、かつ新規開発案件は取り組まない」とする同社方針に逆行しています。同社は今後バングラデシュのマタバリ石炭火力発電所のフェーズ2事業のEPC(設計・調達・建設)にも関与することが想定されています。出資先事業のみならず、建設等に関与する事業も含めてパリ協定の長期目標と整合した事業展開が必要です。
したがって、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行に対して同事業への融資を行わないこと、住友商事、関西電力に対して同発電所を早期廃炉にすることを求めます。
<脚注>
- https://ieefa.org/debt-woes-threaten-australias-newest-coal-fired-power-plant/
- https://www.theaustralian.com.au/business/dataroom/crunch-time-ahead-for-bluewaters-power-station-as-refinancing-looms/news-story/6f717f976a8d88cc4694ccecde835748
- https://www.afr.com/street-talk/bluewaters-japanese-owners-return-to-debt-holders-with-higher-offer-20200726-p55fjb
- https://www.nna.jp/news/show/2072479
- https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/sustainability/environmental-management/climate
本件に関する問い合わせ先:
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、田辺有輝
tanabe@jacses.org
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