石炭事業に関与する企業のデータベース『Global Coal Exit List(脱石炭リスト)』の概要 PDF
<プレスリリース>
公開日時:2017年11月9日 11:30 (ボン)
ドイツの環境NGOのウルゲバルト(Urgewald)は、11月6日からドイツのボンで開催される第23回気候変動枠組締約国会議(COP23)の開催に合わせ、石炭事業に関与する企業のデータベース『Global Coal Exit List(以下、脱石炭リスト)』を公開しました。これは、2017年6月に発表したデータベース『Companies on Coal Expansion Course Exposed』を拡充したものです(日本語の案内はこちら)。
脱石炭リストには、石炭探査・掘削から石炭火力発電所関連企業まで広範囲にわたる770以上の石炭関連企業が登録されており、これらの企業が世界の石炭生産の88%、石炭火力発電容量の86%に携わっています。
脱石炭リストには炭鉱の拡張(225社)や新規石炭火力発電所の建設(282社)を計画している企業も含まれています。一例を挙げれば、日本の大手総合商社である丸紅株式会社は、世界9カ国に5,800MWの新規石炭火力発電所の建設を計画している世界で26番目に大きな石炭火力発電所開発業者です。
今回のデータベースは、これらの企業を含め、石炭に関する事業を包括的にまとめた初のデータベースとして、世界および日本でのダイベストメントキャンペーンに有用な情報源となるものです。
今回、ウルゲバルトは脱石炭リストの作成にあたり、石炭の掘削から燃焼まで広範囲にわたる石炭事業におけるすべての石炭関連部門で中心的な役割を担っている企業を以下の基準に基づいて拾い出しました。
脱石炭リストが対象とする企業を選択する際の3つの基準
1. 発電容量または収益の30%もしくは30%以上が石炭関連事業による企業
2. 年間の石炭採掘量が明らかに2,000万トンを超えるか、または石炭火力発電による発電容量が10,000MWを超える企業
3. 新規の石炭採掘または石炭火力発電所への投資を計画している企業
現在、ノルウェー政府年金基金(グローバル)などが行っている石炭ダイベストメント(投資撤退)は上の基準1に基づいています。しかし、この基準のみでは投資先企業が大規模な石炭採掘や石炭火力発電を行っていたとしても、石炭関連事業以外の割合が大きければ、相対的に石炭関連事業の比率が小さくなり、投資先企業の気候変動への影響が甚大でもダイベストメントの対象となりませんでした(日本企業では東京電力や関西電力が該当)。一方、脱石炭リストでは石炭事業の規模を評価し、基準1に加えて2,000万トンを超えるか、または石炭火力発電による発電容量が10,000MWを超える企業は全てリストに含めています。今後の石炭関連事業の計画について考慮されていなかった点についても(日本企業では丸紅等が該当)基準3が加えられたことで、含まれることになりました。
今回、選択基準を3つにしたことで、脱石炭リストには前回のデータベースで拾い切れなかった企業も含まれることとなり、より包括的なダイベストメントを行おうとする投資家にとっては極めて有益な脱原発リストとなり、このリストを基に石炭産業のダイベストメントを進めることが可能となっています。パリ協定の1.5℃目標に到達するためには、脱石炭リストがカバーするようなより包括的なダイベストメントの拡大が必要です。石炭関連事業への投融資から早急に撤退することは、金融業界にとって座礁資産化を避けるだけではなく、持続可能な社会を実現することにつながるのです。
リンク
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【プレスリリース】
ドイツの環境NGOが石炭事業に関与する企業のデータベース
『Global Coal Exit List(脱石炭リスト)』(https://coalexit.org/)を公開(PDF)
問い合わせ先
■ 問い合わせ先(ウルゲバルト)
Moritz Schroeder, Urgewald’s communications director:
moritz@urgewald.org, +49 176-64079965
■ 日本語での問い合わせ先(日本)
田辺有輝(「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、プログラムコーディネーター)
tanabe@jacses.org,03-3556-7325