8月25日(月)、気候ネットワークは、電源開発(J-POWER)が計画している高砂火力発電所(兵庫県高砂市)新1・2号機設備更新に対して意見書(計画段階環境配慮書への意見)を提出しました。
意見書では、気候変動対策の観点から、設備更新であっても石炭火力発電所の建設は容認しうるものではないとしています。さらに、今回の計画は設備容量を計50万kWから120万kWへと2.4倍も増加させるものですが、将来的にはエネルギー需要が減少していくことを考えれば、このような大幅な設備増加は不要であると指摘しています。
意見書の主なポイントは以下の通りです。
1.石炭火力発電の問題について
- ?天然ガスの約2倍のCO2を排出する石炭火力の新設は、気候変動へ甚大な環境影響を及ぼす。よって、そのことを無視した本事業の実施には反対する。
- 今後建設される発電所は、少なくともLNG火力が達成している約350g/kwhというCO2排出原単位を実現できる水準を満たすべきであり、いかに高効率でも、また設備更新であっても石炭火力発電の建設は容認できない。
2.CO2排出に関する取り扱いと「東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ」との整合性について
- ?CO2の排出について対応を実施することは、事業者の社会的責任として不可避である。
- 事業者は、「東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ」をふまえた対策について明確に説明する責任がある。
- 電源開発は過去に提出した石炭火力発電所の設備更新計画に対して、環境大臣と経済産業大臣からそれぞれ意見と勧告を受けている。本事業についても取りまとめを踏まえる必要性は認識していてしかるべきである。
3.CO2排出による環境影響に関する具体的な情報について
- ?本配慮書ではCO2や発電効率に関連する詳細データが示されておらず、使用する技術がBAT(Best Available Technology:事業者が利用可能な最良の技術)に該当するか判断できない。
- 事業実施の是非にも関わる重要な情報であると考えられるため、事業者にはこれらの情報開示を求める。