<プレスリリース>

米国バイデン=ハリス政権、パリ協定復帰へ
~日本政府は気候・エネルギー政策を見直し、目標の引き上げを~

2021年1月21日
特定非営利活動法人気候ネットワーク
代表 浅岡美恵

20日、米国で、4年間のトランプ政権に終止符がうたれ、民主党のジョー・バイデン氏が大統領に、カマラ・ハリス氏が副大統領に就任した。バイデン大統領は就任演説の中で米国が直面する危機のひとつとして「気候非常事態」をあげ、これに立ち向かう決意を力強く示した。

トランプ政権は、紛れもなく、現実の脅威だった。気候科学を否定し、反科学をもって扇動し、重要な連邦レベルの環境規制を次々と破棄し、パリ協定を離脱し、国際協調関係を混乱させた。しかし、トランプ政権下においても、パリ協定のもとで気候危機に立ち向かおうとする国際社会の結束は進展し、再エネの市場競争力はさらに高まり、米国内で衰退を続けてきた石炭火力発電が復活することはなかった。気候危機の現実に立ち向かってきた米国と世界中の市民社会の努力に敬意を表したい。

バイデン大統領は就任初日、早速に、気候対策に着手した。パリ協定に復帰する書面に署名し、30日後に米国が再び正式なパリ協定の締約国となることが決まった。また、過去4年間の連邦政策や大統領令による環境への悪影響を精査して適切な対応をとること、交通運輸部門からの排出・燃費基準、建築物の効率基準を見直すこと、温室効果ガス排出の社会的費用に関する省庁横断的な作業部会を立ち上げ、行政機関が気候リスク、環境正義や世代間衡平性のすべてのコストを考慮に入れられるようにすること、巨大な化石燃料インフラ「キーストーンXLパイプライン」の建設計画への承認を撤回することも、まず取り組むべき仕事のリストにあげられている。今後、バイデン氏が公約に掲げたクリーンエネルギー100%の実現に向けた政策検討や、各国首脳に野心の引き上げを求める気候サミットの準備も進められるだろう。米国がパリ協定のもとでの1.5℃実現に向けて、なすべきことはあまりにも多い。バイデン=ハリス政権には、米国の大きな歴史的責任と能力に見合った迅速な行動を強く求めたい。

日本は、菅首相の2050年カーボンニュートラル宣言後も、2050年でも電力の30~40%を原子力と火力で賄うとし、石炭火力発電所の新増設方針を変えていない。「石炭中毒」の状況から一歩も進んでいないが、米国の歴史が動くことで、日本の気候・エネルギー政策は、強く、見直しを迫られることになる。原子力と化石燃料から脱却し、2050年までに持続可能な再エネ100%へと転換する目標を明確にし、2030年の温室効果ガスの削減目標を1990年比で少なくとも45%以上に引き上げ、コロナからのグリーンリカバリー政策に踏み出して、今年11月のCOP26に臨むべきである。

 

以上

 

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【プレスリリース】米国バイデン=ハリス政権、パリ協定復帰へ~日本政府は気候・エネルギー政策を見直し、目標の引き上げを~(2021/1/21)