2019年10月21日、気候ネットワークは、東京海上ホールディングス(株)、SOMPOホールディングス(株)、MS&ADインシュアランスグループホールディングス(株)の3社に対し、『石炭火力発電事業に関するポリシー策定のお願い』を送付しました。その趣旨は、世界中で脱炭素の動きが加速しており、金融機関や機関投資家と同様に、損害保険業界においても石炭・化石燃料関連事業からの投資撤退(ダイベストメント)や保険引受停止の動きが広がっていることを受け、3社にも早期に石炭ポリシーの策定(特に保険引受停止)のお願いと、各社の石炭事業に対する認識などを確認するものです。
なお、気候ネットワークでは、2018年11月に石炭火力発電所への融資に対して、3大銀行に質問書を送るなど、金融機関へ脱炭素への動きをより積極的に支援するよう、働きかけています。
2015年の「パリ協定」後、世界中で脱炭素の動きが加速、欧州やカナダが脱石炭の方針を打ち出しているほか、金融機関や機関投資家にも石炭・化石燃料関連事業からの投資撤退(ダイベストメント)の動きが広がっています。損害保険業界においても同様の動きは確実に広がっており、2015年にAXAが石炭事業からのダイベストメントや保険縮小のポリシーを掲げ(2017年に内容強化)、本年7月にはChubbが石炭ポリシーを公表しています。日本では、第一生命や日本生命が石炭火力事業への新規投融資停止の方針を打ち出していますが、残念ながら損害保険業界からは具体的な動きが見られません。
貴社におかれましては、気候変動は事業に関わる大きなリスクとして早くから認識され、自らのCO2排出削減や、気候変動に関連する商品・サービスの提供、TCFDや国連持続可能な保険原則(PSI)といった気候変動関連のイニシアティブへの参加等、気候変動に積極的に取り組まれていることと存じます。その一方で、大量のCO2を排出し、大気汚染にも悪影響を及ぼす石炭関連事業に関しては、現在まで明確な方針を打ち出されていません。
私たちは、気候変動リスクを身近に認識している貴社が、石炭事業に関連する保険の提供あるいは投融資されることは、矛盾した無責任な企業行動であると考えています。世界の大手保険会社同様に石炭方針の作成、とりわけ、新規石炭火力発電事業への保険の引受停止の決定を強くお願い申し上げます。
私たちは国内外のNGOと連携し、世界中の保険業界のダイベストメントの動きを注視しております。関連して確認をさせていただきたいことを次頁に取りまとめました。これに対しご回答をいただきたく、お願い申し上げます。また、本件について、ぜひ私たちと対話を持っていただきたくお願いいたします。
確認・質問事項 1.貴社の気候変動リスクの認識についてお聞かせください。 2.世界的な脱炭素の動きについての認識をお聞かせください。 3.AXA(仏)やChubb(米)が石炭ポリシーを策定・公表していることについて、貴社内においてどう受け止められましたか。 4.貴社において、上記に基づき、石炭ポリシー策定に向けた具体的な検討はなされていますか。もしある場合、可能な範囲で状況をお聞かせください。またない場合、なぜ検討されていないのか、その事由をお聞かせください。 注:ご回答の有無も含めて、いただいた内容(翻訳版も含む)は公開させていただく可能性があります。 |
質問書 ダウンロード
MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社