2010年7月9日
「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」に基づく
2008年度の事業者の排出量集計結果に対する速報分析
気候ネットワーク代表 浅岡 美恵
温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度による2008年度の結果が発表され、開示請求により、14,740の特定事業所と1,425の特定運輸事業所のデータの排出量が明らかになった(6月18日)。これをもとに本日7月9日、気候ネットワークは、大口排出事業者の割合などについての詳細分析(速報)を行った。 温室効果ガス排出量自体は、同年の世界同時不況により直接排出・間接排出共に前年より約6%減少したが、超大口排出者の排出割合は増加、日本の排出の大半がごく限られた排出事業者により占められていることが改めて示された。その概要は以下のとおり。詳細は発表資料(WEBサイト)を参照のこと。
概要
約150事業所が日本の排出の半分を占める
2008年度の日本の温室効果ガス排出量は、 84の発電所や16の製鉄所など約150事業所で日本全体の50%、約600事業所で60%に及び、残り約15,000 事業所と運輸事業者で20%であることが明らかになった。
電気業については「直接排出量」も公表され、事業所数では218の電気業事業所(発電所)による排出は約4 億2000万トン-CO2と日本全体の33%、対象事業所の半分近くを占める。また、鉄鋼業の排出量は直接排出で約1 億7000 万トン-CO2(日本の排出の13%)、間接排出では1億8560万トン-CO2(同14.5%)と、極めて大きいことが確認できた。電力とあわせた排出割合は46%で、2業種で日本の半分に迫る。
さらに電気業、石炭製品石油製品製造業、鉄鋼業、化学工業、窯業土石、製紙の大口6業種で、約7億9000万トン-CO2と、日本全体の62%を占め、日本の削減対策の重点であることが改めて浮き彫りになった。
特定超大口への集中度が一層増加
2008年度は約150事業所で日本全体の半分を占めた。2007年度は161事業所、2006年度は200事業所で日本の排出の半分を占めていたため、大口排出源への集中度がますます高まった。
また、直接排出で見た場合には、対象事業所&運輸事業者の割合は2008年度は日本全体の70%を占めた。2008年度後半の製造業の不況による生産減にも関わらず、集中度は2007年度と変わらなかった。
対象事業所のうちでも、上位20事業所(年間1000万トン-CO2以上)で日本全体の排出の20%、上位100事業所までで45%を占め、極端な排出集中度を示している。下位事業所の排出(概ね2000トン-CO2以上)は相対的には小さく、排出量1位事業所と、事業所数で3分の2に相当する約10000 事業所の排出量はほぼ等しく、上位3事業所と、事業所数で9割近い13000事業所の排出量がほぼ等しい。
詳細については、発表資料(PDFファイル)を参照のこと。
以上
発表資料
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