2019年5月14日、ベトナム、インドネシア、日本を含む世界各国のNGOが、日本の三大銀行-三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)、みずほフィナンシャルグループ-に対して、石炭火力発電への資金提供を止めるように求める全面意見広告を、フィナンシャル・タイムズに掲載しました。

同広告は、4月に表明されたシンガポールの3銀行(DBS銀行、オーバーシー・チャイニーズ銀行(OCBC)、ユナイテッド・オーバーシーズ銀行(UOB))の石炭への金融支援中止の宣言の直後に掲載されたもので、脱石炭の動きがアジアの金融機関にも広がる中、6月のG20大阪サミットに先立ち、日本の金融機関への脱石炭の要請が強まっていることがわかります。

「世界の銀行および保険会社は、経済的リスクと環境への悪影響の観点から、石炭関連事業から手を引き始めています。これに対し、日本の銀行は出遅れています。日本の銀行が石炭への資金提供を続けることは、世界の潮流から外れているだけでなく、世界を壊滅的な気候変動に追い込むことになりかねません。」とMarket Forceのエグゼクティブ・ディレクターのジュリアン・ヴィンセントは述べています。

気候ネットワークの国際ディレクター平田仁子は「日本は本来、クリーンエネルギーを世界に広めることができる立場にあります。国際社会は、日本政府と日本の金融機関に地球を守るとした約束に沿った行動をとることを求めています。それはすなわち、石炭への金融支援を止めることに他なりません。」と述べています。

MUFG、SMBC、みずほ、その他の民間銀行および国際協力銀行(JBIC)は、4月19日にベトナムのバンフォン第1石炭火力発電事業への貸付契約を締結しました。この発電事業は、日本で計画されている平均的な新規の石炭発電所事業と比べ、はるかに多くの大気汚染物質を排出するだけでなく、環境・社会リスクを評価管理する民間金融機関のガイドラインである赤道原則(Equator Principles)に照らしても認められない事業計画です。

これらの銀行による石炭火力発電所への資金調達を止める気配は見えません。新規の石炭火力発電への資金提供を、融資を止めることの対象外とする方針を掲げているため、これらの銀行は、クリーンエネルギーへの移行に必要な取り組みにおいて、アジアの他の商業銀行(DBS銀行、オーバーシー・チャイニーズ銀行(OCBC)、ユナイテッド・オーバーシーズ銀行(UOB)、スタンダードチャータード銀行など)に遅れをとっています。2019年2月の時点で、SMBC、MUFGおよびみずほは、ベトナムのVung Ang 2およびLong Phu 1火力発電所事業を含め、稼働年数を通して計14億トンもの二酸化炭素(CO2)の排出をもたらすであろう新規の石炭火力発電事業計画への財政支援を計画していると報告されているのです。