2010年12月16日
緊急合同声明
民主党の地球温暖化主要三施策の後退を許さない
国内排出量取引制度の早期導入は必須
浅岡美恵 気候ネットワーク代表
飯田哲也 環境エネルギー政策研究所所長
現在、民主党において、地球温暖化に関する主要三施策(国内排出量取引制度、地球温暖化対策税、再生可能エネルギー全量固定価格買取制度)の在り方に関して検討が行われており、今日にも政府に対する提言がまとめられるという。 報道等によれば、提言は、主要三施策の導入に関し、民主党のマニフェスト及び今年3月の閣議で地球温暖化対策基本法案を決定した際の内容を覆し、大きく後退させようとするものだとされる。とりわけ国内排出量取引制度については、当面の間、導入を凍結する方向が検討され、地球温暖化対策基本法案の「1年以内を目途に創設する」としたことを実質的に取り下げようとしている。その理由として、産業への負担やマネーゲームの助長などの懸念があるとされる。また、再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度についても、再生可能エネルギーの普及を抑制する、不完全な制度にするべきとしている。
地球温暖化対策に関する主要三施策の導入は、25%削減目標とあわせて民主党政権が政権交代時に掲げた重要政策である。マニフェストでそれを約束し、基本法案策定の中で当時の閣僚が決定を下した。これをいとも簡単に、国民の見えないところで大きく方針転換し、著しく後退させようとすることは容認ならない事態であり、国民への大きな裏切りである。
日本の温室効果ガス排出量の半分は、わずか150の事業所が占めている。大口の排出者の排出を確実に減らしていく国内排出量取引制度は、25%削減の核となる政策である。極めて単純化されて「産業への負担になる」と語られたり、国際的な取引制度と混同され「国富の流出になる」といった筋違いの理屈まで加わり、熟慮なきまま、導入を棚上げする方針が固まりつつあることに、激しい危機感と怒りを抱かざるを得ない。 実際には、機械関連などの成長産業の多くにはほとんど影響がなく、むしろ成長を後押しする政策であること、エネルギーコストの削減から利益が生じること、中期的には投資の元が取れ、国際競争力の強化にもつながることなど、CO2削減に止まらないメリットが圧倒的に大きい。また、全量固定価格買取制度の完全実施が、再生可能エネルギー産業を経済の牽引車とするために不可欠であることは、海外の実例からも明白である。
我々は、政府及び民主党に対し、三施策が中長期的なもたらしうる環境と経済へのメリットを認識し、これを確実に推進することを求める。そして政府は、閣議決定通りに地球温暖化対策基本法案を早期実現しつつ、三施策の導入を実現するべきである。
プレスリリースの印刷用PDFファイルは以下をご参照下さい。
以上
発表資料
気候ネットワーク東京事務所
TEL:03-3263-9210
環境エネルギー政策研究所
TEL:03-6382-6061