2009年9月30日

温暖化防止情報開示訴訟 東京高裁も開示命令!

気候ネットワーク代表 浅岡 美恵

本日、東京高裁は、新日本製鐵君津製鐵所、JFEスチール西日本製鉄所(福山地区)、東ソー南陽事業所についての、省エネ法による燃料等の使用量の経済産業省への定期報告(2003年度)情報の開示を求めた訴訟で、2007年9月28日に東京地裁がこれらの事業所について全面開示を命じた判決を維持し、国の控訴を棄却した。東京高裁は、情報公開法が国民主権の理念の下に行政機関の保有する情報の公開を図り、政府による諸活動に関する国民への説明の責務を果たす目的で制定された趣旨に照らし、一般的類型的な支障が生じる蓋然性だけでは足りず、正当な利益が具体的に侵害される危険性が法的保護に値する蓋然性があることを要するとし、これら三社の関係者の証人尋問を行った上で、本件燃料別等の使用量情報を不開示とする理由がないと判示したものである。国は上告せず、判決に復すべきである。

本件訴訟は、気候ネットワークが経済産業省に対し、省エネ法第1種指定事業所(約5000)について、2003年度の燃料別電気の種類別消費量についての定期報告情報の開示を求め、753の事業所が不開示となったため、そのうち代表的な事業所について、東京地裁、名古屋地裁、大阪地裁に提訴した事件のうち、東京地裁事件の控訴審判決である。2006年10月5日に名古屋地裁、2007年1月30日に大阪地裁判決、同年9月28日に東京地裁は国に開示を命じ、さらに2007年11月15日名古屋高裁判決も開示を命じている。なお、同年10月22日に大阪高裁は国の裁量を広く認め不開示処分を容認したため、気候ネットワークは上告中である。)
 当初の753不開示事業所のうち、その後に、437事業所については、当該報告事業者の意思によって経済産業省が開示に変更し、2009年9月30日現在の非開示事業所は計316である(資料1)。本件訴訟が報告事業者の認識を変えることになったものと考えている。

本年9月、鳩山新政権は1990年比25%削減目標を表明し、目標達成のために国内排出量取引制度の導入などを打ち出した。気候ネットワークは国のこの方針転換を歓迎する。本件開示請求データは、情報公開法に定める不開示情報に該当せず、公平で公正な実効性ある排出削減を担保する国内排出量取引制度などを国民参加のもとに設計していくために必要不可欠の情報である。新政権は、東京高等裁判所の判決をもって、残る316事業所すべてについて開示すべきである。

以上

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