「小規模火力発電等の望ましい自主的な環境アセスメント 実務集」(案)への意見
2017年2月3日
気候ネットワーク
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小規模火力発電等の望ましい自主的な環境アセスメント実務集(案)について下記のとおり意見を申し上げます。
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1. 本来は「実務集」ではなく、強制力のある法的制度が必要
現在、国内各地で11.25万kW以下の石炭火力発電所の新規建 設計画が急増し、「アセス逃れ」 で周辺への環境影響評価を行わず、 また地域住民とのリスクコミュニケーションも行わないままに事業 を推進しているということが問題となっている。 これらの事業の大半は、効率の悪い設備でSOxやNOxの排出濃 度も高く、周辺環境への影響、 子どもや喘息患者などにとってもどれだけのリスクがあるのか懸念 される計画が多い。それにもかかわらず、 環境アセスメント法の対象規模以下であるために、 建設計画の情報が住民に何も知らされないままに建設が始まってい る。こうした問題を背景として、 小規模火力発電の環境アセスメントについての議論がスタートして いるはずで、 当初の委員会の中では法的対象とする必要性も論じられたものの、 結果的に事業者側の委員の強い反対によって「実務集」 という形で法的拘束力のないものになったこと自体が問題である。
2. 実務集に示された「義務や要件ではない」や「 拘束力を有するものではない」といった記載を削除すべきである。
実務集の表紙の次のページの注釈囲みで、「本実務集は、 小規模火力発電等に係る事業者等関係者が環境保全の意義と必要性 を共有し、積極的 により良い環境配慮を行うための具体的な方法を紹介したものであ り、事業者にとっての義務や要件 ではなく、何らかの拘束力を有するものではありません。」 と書かれているが、「本実務集は、 小規模火力発電等に係る事業者等関係者が環境保全の意義と必要性 を共有し、積極的 により良い環境配慮を行うための具体的な方法を紹介したものです 」とだけ記載し、「事業者にとっての義務や要件ではなく、 何らかの拘束力を有するものではない」 などという記載は削除すべきである。現在、 地域によっては小規模火力発電所の建設計画をしている事業者に対 して住民が要求しているにもかかわらず、 一切対応を拒否するようなケースもあり、問題である。 こうした実態に対して事業者に逃げ道をつくるような記述は避ける べきである。
3. 環境影響コミュニケーションは幅広く行われるべき
気候変動問題など、 火力発電所は地域住民に与える影響のみならず、 グローバルな観点での評価が不可欠である。 環境影響評価の中でも地球温暖化の問題などは重視されるべきであ り、 環境影響コミュニケーションは建設計画地の地域住民のみならず、 環境NGOなどを含めた幅広い視点でリスクコミュニケーションを 図る必要がある。実務集の中でも記載しておくべきである。また、 環境アセス法に基づくアセスでは、 アセス書籍が縦覧期間後に非開示になり、 後日確認することができなかったり、 コピーができない状態になっていることが問題になっている。 環境アセスメントの情報は短期間の縦覧期間に限定せず、 常に誰でもアクセスできるようにWEBなどに持続的にデータを開 示しておくことを推奨するべきである。また環境モニタリング結果 等の公表を行うことも非常に重要なプロセスである。
以上