2014年4月22日

家庭用ヒートポンプ給湯器は自然冷媒が主流
自然冷媒からフロン(HFC32)への逆行にブレーキを

気候ネットワーク
主婦連合会
ストップ・フロン全国連絡会
日本環境法律家連盟
WWFジャパン

 現在、昨年の国会で成立した「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(改正フロン法)」に基づき、政府の審議会では指定製品の対象機器や目標値、目標年度の検討が行なわれています。

 これまで、エアコンや冷凍冷蔵庫など冷凍冷蔵空調設備の様々な分野で、その冷媒としてフロン類が使われるのが主流でした。2000年代になって、ようやく家庭用冷蔵庫などでノンフロンの商品が市場に出回るようになり、最近では、スーパーマーケットやコンビニなどのショーケースでもフロンから自然冷媒への転換が進んできました。今回の法改正では、その主旨の一つとして、フロンを使った製品から、フロンの使用をできるだけノンフロン・低GWP化することを求めており、こうした市場のノンフロン化への動きを追認するだけではなく、よりいっそう加速化させていくことが不可欠です。

 一方で、開発当初からフロン類ではなく自然冷媒を使っていた機器があります。CO2を冷媒とする家庭用ヒートポンプ給湯器です。様々な冷凍冷蔵空調機器と同様にヒートポンプ技術が使われていますが、もともとフロンよりもCO2冷媒の方が給湯用の高温をつくるのに適していた特性を持っていたためで、日本では世界に先駆けてこの分野が発展し、国内で約30ものメーカーが製品化し、普及しています。

 ところが、今年になって、この家庭用ヒートポンプ給湯器でフロンを冷媒に使おうという動きがみられます。今年1月、東京で開催された「HVAC&R JAPAN2014 冷凍・空調・暖房展」において、ダイキン工業およびコロナの2社が、フロン(HFC32)を冷媒に使った家庭用ヒートポンプ給湯器を展示していたのです。さらに今般、ダイキン工業においては、HFC32給湯器を普及展開することを目指していることが明らかになりました。自然冷媒が確立した分野で、なぜ新たにフロン冷媒を使おうとするのでしょうか。

 HFC32は、IPCC第5次評価報告書において、温室効果係数(GWP)が、積分時間100年値で677、20年値で2430と、非常に高い温室効果を持つ物質です(IPCC AR4「100年値:675、20年値:2330」)。すでに自然冷媒が主流になっている製品分野において、新たにフロンの利用を拡大するというということは、ノンフロン化に向かう国内外の潮流に逆行するものであり、「改正フロン法」の本来の主旨にも大きく反していると考えます。

 私たち環境団体および消費者団体は、メーカーに対して、自然冷媒からフロンに転換するという倫理なき経済活動は慎み、ノンフロン化への追求を惜しまず開発努力をしていただくことを求めます。また、政府に対しては、改正フロン法の施行令の検討にあたって、現在フロン使用製品ではない分野でフロン類の使用が拡大する懸念を放置せず、「家庭用ヒートポンプ給湯器」を指定製品とし、「2015年にはGWP 20以下とする」といった具体的措置をとることを求めます。

以上

プレスリリース

【共同声明・プレスリリース】家庭用ヒートポンプ給湯器は自然冷媒が主流 自然冷媒からフロン(HFC32)への逆行にブレーキを(2014年4月22日、PDF)

補足ペーパー

なぜヒートポンプ給湯器の冷媒にフロン(HFC32)を使ってはならないか(2014年5月20日、PDF)

問合せ

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