現在、7月2日までの締切りで「日本の約束草案(政府原案)」に対するパブリックコメントが行なわれています。「日本の約束草案」では、エネルギーミックスの政府案とは別に2030年の温室効果ガス削減目標が示されています。
5月1日の投稿でその内容の問題についてご紹介しておりますが、見かけ上の削減率を"欧米と遜色ない”ものにするために、基準年を2013年にずらし、「2030年度に13年度比26%減」としています。このレベルは、1990年比では18%削減程度にしかならず、野心に欠けた数字だと言わざるを得ません。
「2050年80%削減」の長期目標に向けた経路としても直線的につながっておらず、将来世代により大きな負担を残すものです。地球の平均気温を2℃の上昇にとどめ、気候を安定化させるために合意された先進国で2050年に80%削減に向けた経路としては、下の緑色の棒グラフで示しているように、2020年に25%削減、2030年に40~50%程度の削減が必要です。
パブリックコメントにあたって、気候ネットワークからは次の4つの点について意見を提出しました。
1.エネルギーミックスとの整合について
■意見の該当箇所
「日本の約束草案の提出について」の9行目「エネルギーミックスと整合的なものとなるよう、技術的、コスト面の課題などを十分に考慮した裏付けのある対策・施策や技術の積み上げによる実現可能な削減目標」
■意見の概要(100字以内)
地球の平均気温上昇2℃未満に向けた究極目標や公平かつ野心的な国内削減目標を定めた上で、エネルギーミックスを策定すべきで、気候変動問題を考慮せずまとめられたエネルギーミックスと整合すべきでない。
2.公平性・野心度について
■意見の該当箇所
「公平性・野心度」について
■意見の概要(100字以内)
公平かつ野心的な目標についての説明内容や根拠も不十分である。2℃目標に向けて大幅に深掘した野心的な数値目標とすべきである。
3.「2℃目標」や「2050年80%削減」との整合について
■意見の該当箇所
「条約2条の目的達成に向けた貢献」について
■意見の概要(100字以内)
2℃目標のために必要な排出経路として「2050年80%削減」の長期目標に整合的な目標と整合した目標といえない。もっと大幅に深掘りした削減目標とする必要がある。
4.「2030年度2013年度比▲26%削減」について
■意見の該当箇所
日本の約束草案「2030年度に2013年度比▲26%(2005年度比▲25.4%)の水準(約10億4200万-CO2)とすること」について
■意見の概要(100字以内)
2013年度比▲26%削減は、1990年比で18%程度にしかならず、目標として低すぎる。公平性・野心的観点から抜本的に見直し、2050年の80%削減の目標とも整合するよう少なくとも「1990年比40~50%削減」とすべき。
脱原発と温暖化防止を両立し、持続可能な社会を実現するため、周りの団体・知人・友人にも呼びかけて、ぜひ1人でも多く私たちの意見を政府に提出しましょう!
なお、「日本の約束草案(政府原案)」とは別にエネルギーミックスのパブリックコメントも2015年7月1日まで募集していますので、ぜひそちらにも意見を出しましょう!
パブリックコメントの募集ページ
● 「日本の約束草案(政府原案)」に対する意見の募集(パブリックコメント)について
気候ネットワークが提出した意見
参考ウェブページ
- 約束草案検討ワーキンググループ
- 長期エネルギー需給見通し小委員会
- 気候ネットワークのプレスリリースなど