第51回衆議院議員選挙が、2026年1月27日に公示され、2月8日に投開票となる。気候ネットワークでは、この選挙に合わせ、政党*の選挙公約(マニフェスト・政策)をもとに、各政党の地球温暖化対策に関連した政策を評価分析した。

昨年秋、政権は高市政権へと移行し、長年にわたり自由民主党と連立を組んできた公明党は連立政権から離脱した。その後、自由民主党は日本維新の会と新たに連立を組むこととなり、日本の政治構図は大きく変化した。

こうした中、通常国会冒頭という異例のタイミングで衆議院が解散され、総選挙が行われることとなった。選挙にあわせて、立憲民主党と公明党は合流し、新たに「中道改革連合」を結成し、マニフェストを発表している。

しかし、今回の選挙は政権交代や政党再編が短期間に相次いだ直後に行われることとなったため、いずれの政党にとっても、これまでのエネルギー政策や気候政策を抜本的に見直し、細部まで作り込む十分な時間的余裕があったとは言い難い。とりわけ、新たに設立された政党については、大きな方向性や理念が示されている一方で、具体的な制度設計や実行プロセスは今後の検討に委ねられている部分が少なくない。

今回の衆議院議員選挙では、各党の最新のマニフェストだけでなく、これまでどのような政策を掲げ、どのように変化してきたのかという長期的な視点から政策を評価し、投票先を選ぶことも重要である。過去の蓄積を踏まえることで、今回の選挙における各政党の立ち位置と、今後の気候・エネルギー政策の行方がより立体的に見えてくる。

そこで、気候ネットワークでは、今回のマニフェストを単独で評価するだけではなく、これまでの国政選挙における各政党のマニフェスト評価の蓄積を振り返り、長期的な傾向から今回の選挙を読み解くこととした。以下は、今回の各党マニフェスト評価と過去のマニフェスト評価の分析をまとめたものである。

※2026年1月27日時点で各政党の公式ウェブサイトに掲載されていた公約集・政策集を基に評価しました。

各党の政策に対する評価(総論)

各党の評価の結果、以下のとおり、連立与党である自由民主党日本維新の会はともにー1点と非常に低い点数となった。

一方、野党では日本共産党れいわ新選組が25点で満点となった。立憲民主党と公明党の衆議院議員が創設した中道改革連合は火力に関する方向性が明記されていないことなど記載に乏しいことから5点と低い点数となった。また、社会民主党は6点という結果だったが、こちらも記載なしの項目が多かったことによる。

また、野党の中で得点が低かったのが、国民民主党ー1点、参政党ー5点、日本保守党ー3点、チームみらいのー2点となった。

選挙を通じて気候変動政策に前向きな議員や政党の塊を増やすことが、今後の気候変動政策の進展に大きな影響を与えることになる。

注)この分析は、各党の気候変動対策・政策を評価するものであり、特定の政党・候補者を応援したり支持したりするものではありません。

各党の評価(2026年1月27日時点)

評価の対象は、政党・政治資金団体一覧 (2026年1月25日現在)のうち、本衆議院選挙で候補者を擁立した政党に限る

記号の読み方 
◎(5点) 具体的な記載があり、なおかつ意欲的な内容・目標となっている政策
〇(3点) 記載があり、現状からの向上はあるが、意欲的とは言いがたい政策
△(1点) 記載があるが、現状追認で、科学的知見や国際合意等で示された望ましい政策とは言いがたい政策
✖(-1点) 記載はあるが、科学的知見や国際合意等で示された望ましい政策に逆行する
―(0点) 記載がない

過去のマニフェスト比較データ分析

気候ネットワークでは、今回のマニフェストを単独で評価するだけではなく、これまでの国政選挙における各政党のマニフェスト評価の蓄積を振り返り、長期的な傾向から今回の選挙を読み解くこととした。ここでは、「国政選挙での政党マニフェスト評価」で示した第22回参議院議員選挙(2010年7月11日投開票)から第27回参議院議員選挙(2025年7月20日投開票)までの評価を全て洗い出し、今回の選挙の政党構造や過去の評価の傾向に合わせて4つの塊にして示すこととした。

具体的には、①自由民主党と維新の連立政権、②立憲民主党と公明党による中道改革連合、③気候エネルギー政策に高評価の政党、④気候エネルギー政策に低評価の政党、という4つの塊に分け、それぞれの方向性と特徴を整理した。

自由民主党と日本維新の会

自由民主党と日本維新の会について見ると、過去のマニフェスト評価からは、両党とも一貫して気候・エネルギー政策の評価が低位にとどまってきたことが明らかである。自由民主党は長期にわたり、化石燃料や原発を前提としたエネルギー政策を維持しており、評価はゼロ前後からマイナス圏で推移してきた。維新の会も、登場当初に一時的な上昇が見られたものの、規制緩和や成長重視の姿勢が強まるにつれ、気候政策の評価は低下している。

この二党による連立は、過去のデータから見る限り、気候・エネルギー政策を前進させる方向に作用するというよりも、従来の低位に固定された政策傾向を強化する可能性が高いと評価できる。

中道改革連合(立憲民主党・公明党)

立憲民主党は、結党以降、野党として一定水準以上の気候政策を掲げてきた政党であり、特に高い気候目標や脱原発・再生可能エネルギー拡大を明確にした選挙では比較的高い評価を得てきた。一方、公明党は、過去には高い評価を得ていた時期があったものの、自由民主党との長期連立の中で評価が大きく低下してきた経緯がある。しかし、データを振り返ると、公明党は与党制約が弱まる局面では、前向きな政策を打ち出す傾向が見られる。

こうした過去の傾向を踏まえると、中道改革連合は、両党が比較的高い評価を得ていた時期の政策要素が合流する可能性を持つ政党であり、今後の政策具体化の方向性が注目される。

日本共産党、れいわ新選組、社会民主党

気候・エネルギー政策において一貫して高い評価を得てきたのは、日本共産党である。再生可能エネルギーの主力化や脱炭素社会への移行を早期から掲げ、長期的に見ても政策の一貫性が高い。また、れいわ新選組も、結党以降、評価を着実に高めており、社会保障と結びつけた気候政策が特徴となっている。社会民主党は、過去には非常に高得点を得ており、立場は明確だが、マニフェストで気候変動対策に関する記載が少なくなっていたことから評価が低迷する傾向にあった。

国民民主党、参政党

国民民主党は、近年の評価が低下傾向にあり、気候・エネルギー政策を主要な争点として位置づけていないことが評価に反映されている。

参政党は一貫してマイナス評価に位置しており、他の低評価政党と比較しても、気候変動対策そのものを主要な政策課題として位置づけていない点が特徴である。さらに、脱炭素や再生可能エネルギー拡大といった方向性に対し、慎重あるいは否定的な姿勢を示しており、日本社会全体が直面している気候危機への対応という観点からは、明確に逆行している政策傾向が確認される。


以上の分析から、今回の衆議院議員選挙における各政党の気候・エネルギー政策は、短期的なマニフェストの文言だけでは捉えきれない、明確な構造的傾向を持っていることが読み取れる。過去のマニフェスト評価の蓄積を踏まえれば、日本の気候・エネルギー政策を原発・化石燃料依存構造から転換し、省エネルギーと再生可能エネルギーを軸とする方向へ導く意思と実績を持つ政党と、そうでない政党との間には、無視できない差が存在していることは否定できない。

論点1. 気候目標

パリ協定の1.5℃目標に向け、2050年までの早期のカーボンニュートラルをかかげ、2030年や2035年の削減目標を引き上げること

気候変動対策で最も重要なことは温室効果ガスの排出を可及的速やかに削減することであり、パリ協定で目標とする「産業革命以前に比べて1.5℃の上昇に抑える」ための削減目標と道筋を示すことである。この1.5℃目標達成には、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によると、世界全体で2035年までに60%以上の削減が必要だとしている(2019年比)。日本は歴史的排出量や一人当たりの排出量が多いことから、世界全体の目標以上に大幅な削減をする必要があり、2030年に少なくとも50%以上、2035年には75~80%程度の削減が必要である。昨年2月に国連に提出した日本の削減目標は2030年度46%削減、2035年度60%削減、2040年度73%削減(いずれも2013年度比)であった。この目標を現行よりも高く見直すかどうかが評価のポイントとなる。

  • 削減目標を高く示した政党は日本共産党れいわ新選組である。
  • 現行の削減目標を示した政党は日本維新の会である。自由民主党は2025年7月の参院選で2030年の削減目標を示していたが、今回は記載がなく、後退した。
  • 2030年、2035年の削減目標を示していない政党は自由民主党中道改革連合国民民主党参政党社会民主党日本保守党である。
  • 参政党は地球温暖化問題に未だ科学的な議論の余地があるとし、パリ協定の離脱により炭素目標を撤回するとした。

脱石炭と火力政策

2030年代前半までに国内の石炭火力発電所を全廃すること

1.5℃目標を達成するには、世界全体で石炭火力を段階的に廃止し、先進国は2030年までに全廃する必要があることを踏まえ、石炭火力の今後の扱いについて評価した。また、先進諸国の大半はすでに2030年までの脱石炭を表明しLNG火力の削減に進んでおり、もはや石炭火力のみを論点にすることは時代遅れですらある。日本も今後はLNG火力の削減や2035年までに電力部門の脱炭素化をいかに達成するかを課題とすべきである。今、政治に求められるのは、化石燃料からの脱却という方針をかかげ、再エネ転換を重点化することであると改めて書き添えておきたい。

  • 2030年までの石炭火力の段階的廃止を示したのは、日本共産党れいわ新選組である。
  • 脱石炭の記載はなく、石炭火力へのアンモニア混焼、CCUSを推進する現行の政策を維持する方針を示したのは、自由民主党日本維新の会国民民主党である。また、同様に再エネより次世代火力発電を推進するとしたのは参政党である。参政党は次世代火力発電を「CO2排出実質ゼロ」などと表現しており科学的根拠にも乏しい。
  • 優れた火力発電技術の有効活用を掲げたのは日本保守党である。
  • 中道改革連合社会民主党は具体的な記載が何もなかった。

水素・アンモニア

水素・アンモニア混焼による火力延命策を認めないこと

政府は、グリーントランスフォーメーション(GX)の中で水素・アンモニア、CCS/CCUSを脱炭素の柱と位置づけている。具体的には、石炭火力へのアンモニア混焼を推進し、火力発電を2050年以降も使い続け、排出されるCO₂を回収して貯留するCCSで対応する方針があげられる。これらの技術は非常に高コストであることが明らかにされており、現在の政策では、これらに対して価格差支援制度や拠点整備支援、長期脱炭素電源オークションなど様々な支援策が構築されている。発電部門には、再エネというCO₂を排出しない技術があるため、再エネへの転換こそ優先されるべきであり、アンモニア混焼やCCSなどを利用して火力を延命すべきではない。

  • GXなどによる火力への水素・アンモニア混焼に批判的な立場をとるのが、日本共産党れいわ新選組である。
  • 自由民主党日本維新の会国民民主党は、現行の政策同様、水素・アンモニアやCCSを積極的に推進する方向を示した。また参政党も、次世代火力や次世代原子力など民間投資だけで賄えない分野は国として積極的に投資するとしている。
  • 日本保守党は、具体的な記載はないものの、火力発電技術の活用を必要とし、水素・アンモニア混焼やCCUSの推進に含みを持たせた表現となっている。
  • 中道改革連合社会民主党、チームみらいは記載がなかった。

再生可能エネルギー

2035年の電力部門の脱炭素化と再生可能エネルギー100%を目指すこと

「第7次エネルギー基本計画」では再生可能エネルギーを2040年度までに電源構成比で4~5割程度とするとした。これは第6次エネ基の2030年度再エネ36~38%からほとんど進展がなく、1.5℃目標を達成できる目標とは言えない。2030年、2040年の政府目標を大きく上回る目標と将来的に再エネ100%を目指していく姿勢が求められる。

  • 日本共産党は、2035年度の再エネ電力比率を8割とし、40年度までに100%とした。
  • れいわ新選組は、2030年までにエネルギー供給の70%、2050年までに100%を目指すとした。
  • 中道改革連合は、再生可能エネルギーの最大限活用を掲げたが具体的な数値は示さなかった。
  • 国民民主党は、2030年代には電源構成比で再エネ比率が40%以上と、現行とほぼ同じ目標を示した。
  • 自由民主党は昨年の参院選では再エネの最大限導入を掲げていたが、今回はその記述が無くなった。
  • 日本維新の会は、再エネ導入拡大を掲げたが、具体的な数値目標は示さなかった。
  • 参政党日本保守党チームみらいは再エネの最大限導入も掲げず、具体的な数値目標も示していない。

原子力

脱原発を掲げ、小型原子炉など含めた原発新増設を認めないこと

第7次エネルギー基本計画やGX2040ビジョンでは、「原子力依存の低減」の文言は削除され、原子力を「最大限活用」する方針が示された。しかし、原子力を推進することは結果的に原発のトラブル時などで火力に頼らざるをえない状況をつくる。原発の新増設にあたっては、時間がかかりすぎ、求められる気候変動対策にはならない。同時に、多額の資金が必要なことから経済的にも国民負担を増加させる。

  • 脱原発を掲げたのは、日本共産党(すみやかに原発ゼロ)、れいわ新選組(即時廃止)、社会民主党(再生可能エネルギーの普及で脱原発をすすめる)だった。
  • 中道改革連合は、将来的に原発に依存しない社会を目指すとしたが、原発再稼働は条件付きで認めた。
  • 自由民主党日本維新の会国民民主党参政党チームみらいは、原発の再稼働を条件付きで認めるだけでなく、次世代型原子炉の開発も推進するとした。

参考とした各党の公約および政策集

〇自由民主党
令和8年政策パンフレット
https://storage.jimin.jp/pdf/news/policy/212294_1.pdf
自民党政策BANK
https://storage.jimin.jp/pdf/news/policy/212294_2.pdf

〇中道改革連合
基本政策 
https://craj.jp/party/policies/
2026主要政策
https://craj.jp/election2026/policies/

〇日本維新の会
第51回衆議院議員選挙 コア・マニフェスト
https://o-ishin.jp/coalition2025/img/index/core_manifesto_2026.pdf
維新八策2026 個別政策集
https://o-ishin.jp/coalition2025/img/index/ishin8saku2026.pdf

〇国民民主党
2026政策パンフレット
https://election2026.new-kokumin.jp/file/DPFP-PolicyCollection2026.pdf

〇れいわ新撰組
れいわ新選組2026
https://shu51.reiwa-shinsengumi.com/archives/manifest/manifesttheme-02
基本政策
https://reiwa-shinsengumi.com/policy/

〇日本共産党
2026総選挙政策アピール「暮らし・平和・人権 国民のためにブレずにはたらきます」
https://www.jcp.or.jp/web_policy/16323.html#top
各分野の政策
40、原発問題
https://www.jcp.or.jp/web_policy/15976.html
41、エネルギー
https://www.jcp.or.jp/web_policy/15979.html
45、気候危機
https://www.jcp.or.jp/web_policy/15977.html

〇減税日本・ゆうこく連合
公約集・政策集が公表されておらず分析不能

〇参政党
3つの重点政策
https://sanseito.jp/political_measures/
第51回衆議院選挙 3つの柱と9の政策
https://sanseito.jp/51th_hor_election_policy/#policy05
参政党の政策
https://sanseito.jp/political_measures_2025/specific_policies/#policy05

〇日本保守党
日本保守党の重点政策項目
https://hoshuto.jp/policy/

〇社会民主党
2026衆院選公約
https://sdp.or.jp/51-repre-elec/

〇チームみらい
2026年衆議院選挙
https://team-mir.ai/election/shugiin-2026
政策マニフェスト2026
https://policy.team-mir.ai/policies

参考

これまでの国政選挙での政党マニフェスト評価

気候ネットワークは国政選挙の際に、政党が発表したマニフェストの中で気候変動やエネルギー政策に関連する記述をピックアップして評価分析し、どの党が気候変動政策に前向きかをわかりやすくまとめ、有権者が選挙の際に参考にできるよう発信しています。