2013年度の太陽光発電の買取価格案は不公平
~市民・地域による再生可能エネルギー導入を後押しする価格設定が必要~

2013年3月22日

特定非営利活動法人気候ネットワーク

再生可能エネルギー電力の固定価格買取制度について、調達価格等算定委員会は2013年度買取価格等の案を発表し、パブリックコメントが行われた。同案では太陽光発電の買取価格を下表の通り引き下げるとしているが、これは市民・地域による再生可能エネルギー導入を妨げかねない不公平なものであり、制度の趣旨を踏まえ価格案を再検討すべきである。

表 調達価格等算定委員会案

--- 2012年度買取価格 2013年度買取価格案
太陽光発電(10kW未満) 42円/kWh 38円/kWh
太陽光発電(10kW以上) 40円/kWh(税抜)
42円/kWh(税込)
36円/kWh(税抜)
37.8円/kWh(税込)

太陽光発電(10kW未満)について~不確実な前提にたつべきでない~

住宅用と想定される10kW未満の太陽光発電の価格設定は、自治体の補助金や一定の自家消費率を前提としている。しかし、現実にはこれらを満たせない事例も多い。さらに、法律が保証していない「11年目から20年目までの発電量をすべて自家消費すること(または自家消費並みに売電できること)」も前提としている。不確実な前提に基づく価格設定は不公平である。太陽光発電導入の市民の意欲を維持し、これを広げるために、40円/kWh程度の価格設定をすべきである。

太陽光発電(10kW以上)について~規模別の価格設定を行うべき~

固定価格買取制度の下で大企業によるメガソーラー建設が急速に進む一方、地域に根ざした、比較的小規模(500kW以下のケースも多い)の市民共同太陽光発電の取り組みが各地で始まっている。これらの取り組みは、再生可能エネルギー普及だけでなく、地域活性化(ソーシャルビジネスの展開、地域産業の振興、地域での自立的な活動の発展など)、再生可能エネルギー産業の国際競争力向上、地域分散型エネルギー普及、省エネ意識の定着・拡大、夏の電力需要ピーク対策の観点からも後押ししていくべきものである。

ところが、今回の案では、「効率的な供給」を理由に、10kW以上は一律に、1,000kW以上の規模の導入コストを基準としている。実際には500kW以下とそれ以上には導入コストで大きな差がある。調達価格等算定委員会の資料によれば、10~50kW未満の費用は43.7万円/kW、50~500kW未満は37.5万円/kW(ともに2012年10~12月のデータ)であり、2012年度調達価格の前提となった32.5万円に至っていない。再生可能エネルギー特措法の目的は「効率的な供給」ではなく、再生可能エネルギーの利用促進である。制度の趣旨に合わせ、一律ではなく、規模別に公平な価格設定をすべきである。

プレスリリース本文

「2013年度の太陽光発電の買取価格案は不公平~市民・地域による再生可能エネルギー導入を後押しする価格設定が必要~」?
(2013年3月22日、PDF)

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