国連気候サミット閉会にあたって
~日本は、政治の重要課題として、中期目標の議論をすみやかに始めるべき~

2014年9月24日
気候ネットワーク代表 浅岡美恵

9月23日に開催されたニューヨークの国連本部で開催された気候サミットは、122カ国の首脳が参加する、これまでの気候変動問題に関する最もハイレベルな会議となった。今会議を機に、来年12月にパリで合意が目指される意欲的な法的合意に向け、気候変動はふたたび国際政治の最重要課題に押し上げられた。

サミットの中で、潘基文国連事務総長や、国連平和大使に任命された俳優のレオナルド・ディカプリオ氏らが各国への行動を呼びかけ、様々な国の首脳たちが気候変動問題への取り組みや決意を表明した。

サモア、ツバル、コスタリカ、デンマークは、化石燃料から再生可能エネルギー100%への転換を表明し、スウェーデン、トリニダード・トバゴ、エチオピア、アイスランドは、2050年にカーボン・ニュートラルにすることを表明した。また、ドイツ、フランス、スイス、韓国、デンマーク、ノルウェー、メキシコ、ルクセンブルクより緑の気候基金(GCF)への資金拠出の表明があった。また、オバマ大統領は、来年早期に目標を発表すると言い、中国は、可能な限り早く排出のピークを迎えると表明した。オバマ大統領はアメリカと中国の二大国に行動する責任があるとの認識を表明した。

もっと多くの国に、より確固とした意欲が必要だったと言うこともできるが、21日に世界中で50万人以上の人々が参加した気候マーチや、国連事務総長へ届けられた200万人の「行動を」という署名に突き動かされ、世界120カ国以上の首脳が気候変動の問題への意欲を示し合ったこと自体において、政治的なモメンタムは大きく高められたと言える。

これに対し、安倍晋三首相の演説は、すでにとってきた行動のPRと、具体性に欠ける途上国支援を打ち出すことにとどまった。2015年3月までに求められる中期目標に関しては提出時期を示せず、途上国支援のための基金への拠出も表明しなかった。サミットで期待されていたことに何も答えられておらず、大きく失望するものだった。

安倍首相は、気候サミットで世界中の市民と他国の首脳から示された政治的意思と日本とのギャップを受け止め、政治が解決すべき課題であるとの認識をもつべきである。そして、新たな方針に基づき、2015年3月の提出に間に合うように意欲的な中期目標の策定作業へ速やかに取りかかり、化石燃料や原発依存から、再生可能エネルギーと省エネを中心としたシステムに転換するための大きな仕事に取り組まなければならない。

 

プレスリリース「国連気候サミット閉会にあたって~日本は、政治の重要課題として、中期目標の議論をすみやかに始めるべき~」

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