バルセロナへむけ交渉文書を洗練、宿題を残して終了
COP15合意へ残された時間はわずか

 

2009年10月9日
気候ネットワーク代表 浅岡美恵

バンコク会議は、コペンハーゲン合意を得るための交渉の土台となる文書を整理するという、本格交渉モードに入るための洗練作業を行ったことで終了した。

先進国・途上国を含むすべての国の行動を議論する、気候変動枠組条約の下での特別作業部会(条約AWG)では、当初の181ページの各国の主張を統合した文書が、論点ごとにオプションが整理され、相当に短縮された。その過程で、今後の交渉の焦点となるところも浮かび上がってきている。中でも技術移転や適応の部分では整理が進んだが、マーケット利用を含む新たなメカニズムなど、途上国の削減行動とも関連する新しい仕組みについてはようやく土台づくりが始まったところだ。
先進国の削減目標を検討する京都議定書の下での特別作業部会(議定書AWG)に関しては、先進国の数値目標に関しての意味のある前進はここでは見られなかったが、日本(25%削減)・ノルウェー(40%削減)の新政権がそれぞれに数値目標を引き上げ、喝采を受け、いい空気を吹き込んだ。
 バンコク会議は、文書縮小という必要な作業は進めたが、対立点の妥協を図る本格交渉には入っていない。COP15まで残すところ2ヶ月を切った。COP15前の最後の交渉会議であるバルセロナ会議(11月)で実質的な交渉をし、大きな前進を得ることが不可欠である。

鳩山首相が9月の国連気候変動サミットで、2020年までに1990年比で25%を削減するとの中期目標を表明し、鳩山イニシアティブとして途上国支援の方針を明らかにした。新政権の温暖化政策の転換は世界から歓迎をもって迎えられ、バンコク会議でも高く評価された。NGOが交渉の前進に妨害的な国に授与する化石賞を始めて以来、日本がこれを一度も受賞しなかった会合は今回が初めてである。
 だが、政権交代直後という特別事情によって、具体的な方針を持たずに交渉をせざるを得なかった。次のバルセロナ会議に向け、新政権は、途上国の支援のための「鳩山イニシアティブ」、とりわけ、具体的な資金の提案を筆頭に、交渉に向けた交渉ポジションを、早急に固めなければいけない。それが日本への最大の宿題である。政府は、国民にその意義を説明し、理解と協力を得ていかなければならない。検討の加速と引き続きのリーダーシップに期待をしたい。

 

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