気候ネットワークは、この度「子どもと若者のセーフガーディング方針」を定めました。子どもや若者の支援また育成にかかわる仕事には常に大きな責任がともないます。気候ネットワークでは役職員への研修を実施し、関係者一人ひとりが子どもや若者と適切な関係性を築くことをめざします。社会的責務を果たし、脱炭素社会に向けて貢献していく所存ですので、引き続きのご支援をお願い申し上げます。

特定非営利活動法人気候ネットワーク 子どもと若者のセーフガーディング方針


参考:気候ネットワークの「子どもと若者のセーフガーディング方針」はその策定と運用を、JANIC「子どもと若者のセーフガーディング・ワーキンググループ」のガイドおよび実践例を参考にしています。

特定非営利活動法人気候ネットワーク
子どもと若者のセーフガーディング方針

2024年4月1日策定

1.目的

(1)子どもと若者のセーフガーディング方針(以下、「この方針」)の目的は、人々、特に子どもと若者、支援の受益者が気候ネットワークとの接触を通して何らかの有害行為を受けることを防ぐことを目的とします。これには、以下から生じる有害行為を含むものとします。

  • 気候ネットワークの役職員もしくは関係者の行動
  • 気候ネットワークのプログラムや活動の形成および実施

(2)この方針には、セーフガーディングに関する気候ネットワークの責務、役職員や関係者の責任を明記します。

(3)この方針には、以下を含まないものとします。

  • 職場におけるセクシャルハラスメント (気候ネットワークの「ハラスメントの禁止及び対処方針」で規定)
  • 気候ネットワークや気候ネットワークの関係者以外によるセーフガーディング事案

2.セーフガーディングとは

セーフガーディングとは、組織の役職員や関係者によって、また事業活動において、子どもにいかなる危害も及ぼさないよう、つまり虐待・搾取や危険のリスクにさらすことのないよう努めることであり、万一、活動を通じて子どもの安全にかかわる懸念が生じたときには、しかるべき責任機関に報告を行い、それを組織の責任として取り組むことを意味します。

セーフガーディングに関するより詳しい定義は、本文書内の「用語と定義」に記載します。

3.適用範囲

この方針は気候ネットワークに雇用される全スタッフに適用されます。また、気候ネットワークと業務で連携または訪問する関係者(インターン、ボランティア、事業者、報道関係者、プログラム訪問者など)にも適用されます。

4.方針要綱

(1)気候ネットワークは、すべての人が年齢やジェンダー認識、障がいの有無、性的指向、民族に関係なく、あらゆる有害行為、虐待、ネグレクト、搾取から守られる権利を持つと考えます。気候ネットワークは、役職員もしくは関係者による虐待や搾取を許しません。

(2)この方針には、子どもと若者に対する性的搾取および虐待からの保護(Protection against sexual exploitation and abuse, PSEA)を含みます。また、「気候ネットワーク職員就業規則」および「ハラスメントの禁止及び対処方針」に規定される手続きが必要な場合があります。

(3)気候ネットワークは活動のすべての過程において、予防(prevention)、通報(reporting)、対応(response)の3つの柱を用いてセーフガーディングに取り組みます。

5.予防

(1)気候ネットワークの責任

気候ネットワークは、以下を行います。

  • 気候ネットワークのすべてのプログラムと活動は、活動が人々に与えうるあらゆる有害行為のリスクを回避する方法で形成、実施します。これには、プログラムにおける個人情報の収集および公開を含みます。
  • 役職員および関係者の採用、管理、派遣の際には、厳重なセーフガーディング手続きを行います。
  • 役職員の組織内における各自の役割に応じたセーフガーディング研修を行います。
  • セーフガーディングの懸念に関する相談や通報に対して、定められた手続きに添って迅速かつ適切に調査や再発防止に努めます。

(2)役職員および関係者の責任

子どもと若者のセーフガーディングにおいて、気候ネットワークの役職員および関係者は、以下を行ってはなりません。

  • 未成年者と性的関係を持つこと
  • 受益者である若者(18歳から24歳)と性的関係を持つこと
  • 子ども・若者に対する性的虐待および搾取
  • 子ども・若者に対する身体的虐待、モラルハラスメントや心理的虐待、ネグレクト
  • 児童労働や人身売買を含む子どもや若者を商業的に利用する活動

(3)気候ネットワークの役職員および関係者の責任

  • セーフガーディング違反を予防し、セーフガーディング方針を遵守する環境をつくるとともに、その環境を維持します。
  • 気候ネットワークの役職員または関係者によるセーフガーディング違反に関するあらゆる懸念や疑いは担当者に相談・通報します(「気候ネットワークセーフガーディング方針に基づく報告対応のフローチャート」参照)。

6.相談・通報

(1)気候ネットワークは、セーフガーディング懸念を相談・通報するための、安全かつ適切で、役職員および活動対象地域の人々にアクセス可能な手段を確保します。正式な内部通報手段を用いて(またはそれを要請して)懸念または苦情の相談者・通報者秘密は保持されます。気候ネットワークは、一般住民やパートナー団体、公的機関など外部からの苦情も受け付けます。

(2)セーフガーディング懸念を相談・通報する方法

セーフガーディングに関する苦情もしくは懸念があるスタッフは、セーフガーディング担当者または上長に迅速に相談・通報を行います。もしセーフガーディング担当者または上長に相談・通報することに不安を感じた場合は(相談・通報が真剣に扱われないと感じる、または、その人が事案に関わっている可能性があるなど)、上長のさらに上の管理職または人事担当者に伝えます。

【連絡先】

気候ネットワーク事務局長 田浦健朗

気候ネットワーク東京事務所長 桃井貴子

7.対応

(1)気候ネットワークは、各種方針と手続き、法律や条例に沿って、セーフガーディングに関する通報と懸念に対する事実調査を行い、必要に応じて人事処遇や再発防止に努めます。

(2)気候ネットワークは、この方針に違反したことが判明した役職員または関係者に対して、適切な対応を判断します。

(3)気候ネットワークは、役職員または関係者による有害行為を受けたサバイバーに対する支援を行います。支援に関する意思決定は、サバイバーの意見を尊重し、サバイバーの利益を最優先します。

8.守秘義務

セーフガーディング懸念を扱うすべての過程において、秘密は保持されます。懸念に関する情報およびその後のケースマネジメントは、それらを知る必要がある人にのみ共有され、情報は常に保護されます。

9.おわりに

本方針はすべての職員、ボランティア、インターン等、気候ネットワークの関係者に周知されるものとします。すべての役員は、自ら、本方針を遵守するとともに、職員、インターン、ボランティア等関係者において本方針を認識し遵守されるよう努めるものとします。

<関連する規則、方針>

気候ネットワーク職員就業規則

ハラスメントの禁止及び対処方針

<用語と定義>※

※参考:JANIC子どもと若者のセーフガーディングWG策定「子どもの若者のセーフガーディング最低基準のためのガイド」

・支援の受益者

気候ネットワークのプログラムで物資やサービスを直接受ける人。なお、不適切な力の行使は、NGOが支援するより広範な住民にも適用され、優位なポジションにあると認識させることによる搾取も含まれます。

・子ども

18 歳未満のすべての人を指します。

・若者

子ども期から自立したおとなになるまでの移行期にあたり、そのため他の年齢グループより流動的に捉えられます。なお、国連が統計的に使用する際は、15 歳から 24 歳までの年齢グループを指します。

・有害行為

心理的、身体的、その他あらゆる形での個人の権利の侵害

・性的搾取および虐待からの保護(PSEA)

この言葉は、人道支援および開発支援の業界では、スタッフや関係者による性的搾取や虐待から被災者を保護することを指します。これは、「性的搾取と性的虐待からの保護を図る特別措置に関する国連事務総長公示」(ST/SGB/2003/13) に基づきます。

・セーフガーディング

セーフガーディングとは、組織の役職員や関係者によって、また事業活動において、子どもにいかなる危害も及ぼさないよう、つまり虐待・搾取や危険のリスクにさらすことのないよう努めることであり、万一、活動を通じて子どもの安全にかかわる懸念が生じたときには、しかるべき責任機関に報告を行い、それを組織の責任として取り組むことを意味します。

特に性的な目的のために力や信頼を濫用し、脆弱性につけこんだ有害行為を予防し、対応することを意図しています。

セーフガーディングは、プログラム、関係機関、スタッフに、継続的にかつ例外なく適用されます。つまり、有害行為や搾取、虐待のすべてのリスクを積極的に特定し、予防し、注視する必要があります。また、リスクが発生した際の通報・対応・再発防止のための責任ある、透明性の高い制度を持つ必要があります。これらの制度はサバイバー中心であり、かつ、疑念を向けられた人物に対しても人権に配慮した事実調査や処遇がなされなくてはなりません。

身体的虐待

おとなか子どもかに関わらず、誰かの身体を実際に傷つけること、もしくは身体を傷つける可能性のある行為を行うこと。叩く、揺さぶる、有毒物を与える、溺れさせる、火傷させるなどが含まれます。また、親や保育者などが虚偽の傷や症状をつくりあげることや、故意に子どもを病気にすることも含まれます。

性的虐待

子どもが理解していない、または同意せざるを得ない状況で、無理やり、もしくは、そそのかして子どもに性的行為をする、またはさせること。性器の挿入を伴わない行為なども含まれ、またこの限りではありません。さらに、性的なものを見せる、子どもを使って性的な写真や画像を作成する、性的に不適切な態度を子どもにさせることも含まれます。

性的搾取

金銭、物品、食料、住居、みせかけの愛情、社会的地位など、子どもやその家族が必要なものと引き換えに、子どもに性的な行為をさせること。多くは、子どもと親しくなる、信頼を得る、薬物やアルコールを与えるなどして、巧みに子どもを操り強要することで行われます。両者の間には、同意があったと主張されることがありますが、力関係が不均衡である場合には、被害者側には限られた選択肢しか与えられていないため、同意があったとはみなされません。

ネグレクト・養育怠慢

子どもの身体的・精神的・道徳的発達に悪影響を及ぼしかねないほど、継続して子どもの基本的な要求を満たさないこと。子どもを適切に養育・監督せず危険から守らないこと、栄養のある十分な食事を与えないこと、安全に暮らしたり働く環境を提供しないこと、妊娠中の母親が薬品やアルコールを不適切に服用することやそれを容認すること、障害のある子どもの世話を行わなかったり不適切に扱ったりすることなども含まれます。

心理的虐待

子どもの心理発達に影響を及ぼすほど、継続して心理的に不当に扱うこと。行動を制限する、貶める、辱める、いじめる(オンライン上のいじめも含む)、脅す、怖がらせる、差別する、ばかにすることなどが含まれます。

サバイバー

虐待もしくは搾取の被害を受けた人。「被害者」という言葉より、「サバイバー」には強さや回復力、生存能力といった意味あいが含まれます。しかし、自分自身をどう名乗るかは、個人の選択に任されます。

以上