<プレスリリース>
石炭火力発電所の新設を容認する環境大臣への抗議声明
~「パリ協定」で示された脱炭素化・持続可能な社会への道を踏み外すな~
2016年2月8日
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
代表 浅岡美恵
東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故以降、石炭火力発電所の新規建設計画が2012年以来続出し、現時点で47基、設備容量2250.8万kWに上る。以下のE3Gのレポートの結果からも明らかなように、過去5年間で新設計画がこれほど急増したのはG7の中でも日本だけと際立っている。
環境大臣は、昨年5回にわたり、石炭火力発電所の建設計画をめぐって環境影響評価(環境アセスメント)で「是認しがたい」などと異議を唱えていた。しかし、今日にも容認する方針を固め、丸川珠代環境相と林幹雄経産相が会談して合意すると伝えられている。
昨年12月の「パリ協定」を受けて、「脱石炭」に向かう世界の潮流はますます大きなものとなっている。アメリカが規制方針を示したり、イギリスが2025年には既存の石炭火力発電所の撤廃を決めるなど、国際的には気候変動対策における脱石炭火力は最優先すべき施策と位置づけられる中、日本の環境政策を担い気候変動を防ぐための仕事をするはずの環境大臣が石炭火力発電所の建設を容認する方針転換は、昨年、日本も参加し合意した「パリ協定」に基づく脱炭素化への協調的行動に逆行するものであり、国際社会からの大きな批判を免れ得ない暴挙である。
新規の石炭火力はたとえ高効率でも長期にCO2を排出し続けるのであり、本日発表された「電気事業低炭素社会協議会」の設立や低炭素社会実行計画とその目標は、石炭火力からの排出をどのように減らすことが出来るのか全く説明を欠いたものである。このような状況で石炭火力の新設を容認することは、政府が閣議決定した温室効果ガス削減の長期目標「2050年80%削減」の目標達成をも危うくし、将来世代に大きなつけをまわし、さらに、事業者に対しても座礁資産化のリスクを負わせることになる。環境大臣は、このように環境的にも経済的にも誤った判断をせず、建設計画の抑制、停止を要請し、省エネや再エネをすすめるエネルギー転換を推進するべく国内環境政策を実施するよう強く要請する。
プレスリリース(印刷用)
【プレスリリース】「石炭火力発電所の新設を容認する環境大臣への抗議声明 ~「パリ協定」で示された脱炭素化・持続可能な社会への道を踏み外すな~」(2016/02/08)
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