<プレスリリース>

温室効果ガス排出量2016年度確報値公表
エネルギー転換部門の排出量が増加、石炭対応が急務

2018年4月25日
特定非営利活動法人気候ネットワーク
代表 浅岡 美恵

 

 4月24日、環境省は2016年度の温室効果ガス排出量の確報値を発表した。これによれば、日本の2016年度の温室効果ガスの総排出量は13億700万トン-CO2と、今年1月の速報値(修正版)の値よりも1500万トン減った値となり、前年度比で1.2%減(1600万トン減)となった。その理由は、総合エネルギー統計の大幅な改訂などをふまえた各種統計に基づく再計算を行った結果の差異だとされる。全体の傾向としては、3年連続で減少している点は変わらず、その要因としてHFCの排出量が増加傾向にある一方で、エネルギー消費量の減少とともに再生可能エネルギーの導入拡大や原子力発電の再稼働によるものだとされている。

 しかし、環境大臣のコメントにあるように、現状では、「日本のパリ協定での目標(2030年度に2013年比26%削減)の実現を見通すこともでき」ず、目標の強化も見込めない。根本的な対策が不可欠である。

 今回、環境省が毎年発表する「温室効果ガス排出量」としては初めて、電気・熱配分前のCO2排出量が言及され、1990年以降の排出推移も示された。気候ネットワークが長年にわたって求めてきたものである。これによると、「エネルギー転換部門(製油所・発電所等)」のCO2排出量は、1990年3億4800万トン-CO2、2013年5億2600万トン-CO22015年4億7400万トン-CO22016年5億700万トン-CO2と排出量が増加傾向にある。とりわけ、2016年度のエネルギー転換部門の排出量は前年比で6.9%も増加しており、全体の排出量を押し上げる結果となっている。部門別排出量の推移(電気・熱配分前)では、産業部門、運輸部門、業務その他部門、家庭部門等いずれも減少傾向が見られる一方で、エネルギー転換部門において、省エネや再エネが進んでいる中においても増加している。この背景には、石炭火力発電などCO2排出係数の高い電源の利用率が高まっていることが考えられ、日本の石炭依存傾向を象徴する結果だと言える。

 気候ネットワークの調べでは、日本では2012年以降、石炭火力発電所の建設計画が国内で40基以上浮上したが、そのうち9基がすでに稼働し、さらに17基が建設中となっている。さらに今後も環境アセスメントの手続き中にある20基近くの石炭火力発電所計画が進められている。このまま計画が進めば「6800 万トン程度(2030 年度の排出量全体の約7%に相当)超過してしまう」と環境省も指摘しているとおり、排出削減どころか、排出増加に転じ、大幅な超過となるだろう。

 パリ協定がめざす脱炭素化に向けて日本の責任を果たし、脱炭素の経済へと転換していくためには、世界に逆行する日本の石炭火力発電所建設計画を直ちに停止すべきである。

 

プレスリリース(本文)

温室効果ガス排出量2016年度確報値公表 エネルギー転換部門の排出量が増加、石炭対応が急務(2018/04/25)

参考

2016年度(平成28年度)の温室効果ガス排出量(確報値)について

電気事業分野における地球温暖化対策の進捗状況の評価の結果について

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