2010年6月11日

第2次温暖化防止情報開示訴訟 大阪、名古屋地裁で

 

気候ネットワーク代表 浅岡 美恵

第1次温暖化防止情報公開訴訟

省エネ法では、1994年以来、第1種指定事業所(2003年当時、年間3000kl相当の燃料及び電気を使用する事業所、約5000)に、毎年、経済産業大臣に対し、燃料別及び電気の種類別使用量の報告を義務付けてきた。これらの情報から、当該事業所のCO2直接・間接排出量を算定でき、燃料転換の可能性もわかる。
 気候ネットワークは、経済産業省に対し、2004年に、2003年度のこれら数値情報の情報開示を求め、約82%が開示されたが、約8%(753の事業所)は不開示となった。
 気候ネットワークでは、開示された情報に基づき、約200弱の大規模排出事業所からのCO2排出が日本のCO2排出量の50%を占めることなどを明らかにし、他方で、不開示処分となった事業所について審査請求を申立て、その結論が得られなかったことから、代表的な別表記載の事業所について、2005年8月に東京地裁、名古屋地裁、大阪地裁に提訴し、開示を求めた。2006年10月5日に名古屋地裁、2007年1月30日に大阪地裁、同年9月28日に東京地裁が国に開示を命じ、2007年11月15日名古屋高裁判決、2009年9月30日に東京高裁も開示を命じた。しかし、大阪高裁だけは2007年10月22日に国の裁量を広く認め不開示処分を容認した。これらの訴訟はいずれも、現在、最高裁に係属中である。

第2次温暖化防止情報公開法の提起へ

当初、非開示であった753事業所のうち、437事業所については、提訴後に当該事業者の意思に基づき経済産業省が開示に変更する決定を行い、2009年9月30日現在の不開示事業所は、第1次訴訟対象事業所を含め、316であった(資料1)。これに対し、情報公開・個人情報保護審査会は2009年11月25日、業務2事業所のみの開示を答申し、経済産業大臣は2009年12月14日、その余の事業所につき審査請求を棄却する裁決を下した。
 本件訴訟は、今般の経済産業大臣の棄却決定に対し、近畿経済産業省及び中部経済産業局の非開示決定事業所のうち、非開示事業所が多い業種から、排出量が多く、代表的事業所を選び、大阪地方裁判所及び名古屋地方裁判所に、モデル訴訟として、非開示決定処分の取消しと開示決定を求めるものである。本件開示請求データは、情報公開法に定める非開示情報に当たらず、公平で公正な実効性ある排出削減を担保する国内排出量取引制度などを国民参加のもとに設計していくために必要不可欠の情報である。

詳細につきましては下記発表資料(印刷用PDFファイル)をご参照下さい。

以上

発表資料

 

関連リンク

気候ネットワーク「省エネ法情報開示請求情報分析/訴訟情報」

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