進展図れずに閉幕、「コペンハーゲン合意」に向け交渉の加速を

 

2008年12月12日
気候ネットワーク代表 浅岡美恵

ポーランドのポツナニでのCOP14会合は、緊迫感を欠いたまま、すべての課題で足踏み状態を超えることができずに閉幕した。COP14は、「コペンハーゲン合意」に向けた通過点で、もともと合意を図る会議ではなかったが、だからこそ、先進国全体での削減レベルについて、2020年までの90年比25~40%の削減幅をより明確に示し、前向きなメッセージを発することが期待されていた。しかし、結果は「バリ合意」を再確認するに止まり、途上国への資金の仕組みの前進にも至らなかった。成果が乏しく、残念である。

進展が見られなかったことに、日本は少なからず責任がある。自らの中期目標を「来年の適切な時期に発表する」とし、先進国全体の目標について具体化することに強く抵抗した。また、途上国が次期枠組みの排出削減活動や適応のための資金についても、日本から何の提案もなかった。

気候変動の進展はますます加速的であり、貧しい途上国の被害がより深刻で現実のものとなっている。第1約束期間との間に空白期間を設けることなく、危険な気候変動を現在及び将来にわたって回避する道筋をつけるコペンハーゲン合意に人類の生存がかかる。COP15まで残された時間はわずか1年。すべての国がその重みを実感し、今日からより窮屈に詰め込まれることになった宿題に着手し、COP15合意を仕上げなければならない。

そのために日本は、第1にバリ合意に沿った中期目標を早期に設定し、第2に達成のための炭素税やキャップ&トレード型国内排出量取引など炭素に価格付けをする仕組みを構築していくことが必要である。会議ではまだ中期目標のない国になるべく早く目標設定するよう促した。3月末までにその情報を提出することになっている。中期目標検討委員会での「議論」や、目標達成計画のなかの自主行動計画の数字のフォローに時間を浪費してはならない。

昨年のバリ合意から、世界は大きく変化した。米国ブッシュ政権が、気候変動問題を気候安全保障と経済立て直しをあわせ最重要政治課題として位置づけるオバマ政権に変わる。英国気候変動法がより強化されて成立した。世界が金融・経済危機の克服の課題の中に気候変動問題を位置付け、低炭素経済・社会構築のチャンスとしてとらえる流れが合意へのプロセスと重なる。COP15に向けた作業プロセスの追い風として、中期目標を設定し、新たな雇用を創出し、経済を再生する道を進めるべきである。

 

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