気候ネットワークは、東京海上ホールディングス(株)、SOMPOホールディングス(株)、MS&ADインシュアランスグループホールディングス(株)の3社に対し、『石炭火力発電事業に関するポリシー策定のお願い』を10月21日付で郵送しました。質問書送付から1ヶ月が経ちましたので、その結果をご報告いたします。

【質問書】3大損害保険会社に石炭ポリシーに関する質問書を送付(2019/10/21)

質問は、損害保険業界においても石炭・化石燃料関連事業からの投資撤退(ダイベストメント)や保険引受停止の動きが広がっていることを受け、3社にも早期に石炭ポリシーの策定(特に保険引受停止)のお願いと、各社の石炭事業に対する認識などを確認する目的で行いました。

各社の対応は下表の通りです。MS&ADインシュアランスグループホールディングスから面談の申し出があり、実施いたしましたが、残念ながら他2社からは現時点で何らの返答を受けていない状態となっています。【1/9更新】12/2にSOMPOホールディングスからレターが届かなかったとの連絡あり、12/24に面談を実施しました。

東京海上 HD SOMPO HD MS&AD HD
質問に対する回答 ×  △
返信 ×  ◯(12/2) ◯(11/5)
面会 ×  ◯(12/24) ◯(11/14)

東京海上ホールディングス㈱

返信・連絡なし

SOMPOホールディングス㈱ *1月9日更新

*12月2日にご連絡と面会設定のお話を頂き、12月24日に気候ネットワークのスタッフ3名が訪問。その時の話は以下の通り。

1.気候変動のリスクの認識
気候変動は損保会社にとって業績にストレートに影響する問題。台風被災地等に社員の派遣を行っているが、地域が広がっている。SOMPOホールディングスの発信力(イニシアチブ、情報開示、CSOラーニング等)を活用して、この危機感を訴えていきたいと考えている。

2.世界的な脱炭素の動きについて
金融機関においてダイベストメントが広がっていることや、石炭火力発電所の保険引受けが世界から非難を受けることは認識している。しかし、保険機能に代替えはなく、(石炭火力の保険の引受をやめて)無保険で稼働したら、電力供給停止や、万が一事故が発生した場合保障されないなど、地域住民にも影響が及ぶ可能性があり、それは問題だと考えている。

3.海外損保会社が石炭ポリシーを公表していることについて
Unfriend Coalキャンペーンの関係者などとの対話より欧米損保会社の石炭ポリシーにも抜け穴があることは認識している。また再保険会社も地域によって対応を変えているようであり、今のところ日本では大きな影響がないと聞いている。

4.石炭ポリシーの策定に向けた検討について
石炭ポリシーを検討するためには、新規・既存を含めて石炭火力発電所の情報が必要であるが、十分にリサーチできていない。また(もし石炭ポリシーを策定するとして)日本では保険契約締結権は代理店側が有しているなどの実効性の面での課題も存在するため、具体的な取組を含めて検討する必要があると考えている。

MS&ADインシュランスグループホールディングス㈱

11月5日に担当者から電話があり、直接話しをしたいとの申し出を受け、11月14日に気候ネットワークのスタッフ3名が訪問。その時の話は以下の通り。

<内容> 注:以下は質問に対する回答がわかりやすいように気候ネットワークが編集したものであり、MS&AD社が紙面等で回答したものではありません。

1.気候変動のリスクの認識
保険の支払いがかつては台風被害などで九州地方での支払いが多かったが、最近は関東にまで広がっているという印象があり、気候変動のリスクはそうした点から身近に感じられるようになった。今回の台風被害の支払いも大きかった。
昨年度から開始した中期経営計画では、価値創造ストーリーのビジネスモデルを通じて、企業活動によりレジリエントでサステナブルな社会の実現に貢献することを掲げた。現在、ESG課題の中でも気候変動は優先的に取り組む課題と認識し、具体的な取り組みやスケジュールなどについては現在検討しているところ。

2.世界的な脱炭素の動きについて
石炭の問題に関しては、最近、環境NGOからのレターが届くようになり、脱石炭に向けた動きが活発になってきていると認識している。また、社会の動きとして金融界にもダイベストメントの動きが出ていることは認識している。ただ、国際社会の中でダイベストメントは国の政策方針と一致した動きになっていることが多いと認識している。

3.海外損保会社が石炭ポリシーを公表していることについて
AXAやChubbがポリシーを出していることは認識しており、社内でも情報共有はしている。

4.石炭ポリシーの策定に向けた検討について
損害保険会社は、リスクに対するソリューションを提供することを生業としている。当社では、気候変動の課題に対して脱石炭の動きなどを含め経営層と情報共有し、中期計画に照らし合わせ、何が最適の解なのか検討をしている。
石炭ポリシーの作成やダイベストメントの実施ありきの検討はしていない。