? 10月17日、気候ネットワークは四国電力株式会社が計画している「西条発電所1号機リプレース計画 環境影響評価方法書」に対する意見書を提出しました。
西条発電所1号機リプレース計画 環境影響評価方法書に対する意見書
1.大臣や知事の意見に対する事業者の見解について
① 経済産業大臣の意見に対しての事業者見解について(5.2-1 表)
経済産業大臣の意見書に対して、「長期的な二酸化炭素排出削減対策については、所要の検討を行い、事業者として適切な範囲で必要な措置を講じてまいります」との見解を示していますが、具体的にはどのような検討を行い、どのような対策措置を講じるのでしょうか。
② 愛媛県知事の意見に対しての事業者見解について(7.1-1 表)
愛媛県知事は「本計画が地球温暖化対策に係る目標と整合するものとなるよう、実行性のある取り組みを検討するとともに、関連する法令等の規定を遵守されたい」と意見しているが、これに対する事業者の見解として、「電気事業低炭素社会協議会の低炭素社会実行計画(協議会全体で2030年度に排出係数0.37kg-CO2/kWh程度を目指す)」を策定していることをあげ、目標達成のために「伊方原子力発電所の再稼働」を含めた削減方策を検討すると掲げられています。つまり、伊方原発を稼働させた上で西条火力発電所を稼働して業界の目標を達成させる計画なのでしょうか。
③ 環境大臣の見解に対しての事業者の見解について
愛媛県選出の山本公一環境大臣は今年8月3日、大臣就任記者会見において石炭火力発電所に対しては次のように、世界的な潮流から石炭火力に対して非常に厳しい目が向けられており、抑制的に扱うべきとの見解を示していますが、事業者としては大臣のこの発言をどのように受け止めているのでしょうか。
<山本大臣記者会見での発言>
・世界的な潮流として、石炭火力に対しては非常に厳しい目を向けられている。そのことは我々は十分に認識をして見ていかなければいけない
・地球温暖化という観点からいくと、やはり私どもとしては抑制的にこの問題は取り扱っていかなければいけない
?2.調査予測及び評価の手法(温室効果ガス等)について(6.2-70)
① 「予測対象時期等」について
予測対象時期を「発電所の運転が定常状態となり、二酸化炭素に係る環境影響が最大となる時期」とありますが、定常状態に限定することで、効率については最も高い効率となっていると考えられ、排出源単位の係数は小さくなると考えられます。したがって、予測時期は「運転開始から運転を終了するまでの時期」とした上で、トータルの平均値として排出原単位を算定するべきではないでしょうか。
② 「評価の基本的な手法」について
評価の手法として「『東京電力の火力電源入札に関する関係局長会議取りまとめ』との整合が図られているかどうか」と評価手法が示されていますが、これは「パリ協定」が採択される前のもので不十分です。社会は脱炭素化に向けて急激に変化しており「地球の平均気温を1.5~2℃未満にするとの目標と、21世紀後半には温室効果ガスの排出をゼロにすることを決めた『パリ協定』との整合が図られているかどうか」を評価手法に加えるべきです。
?3.情報公開について
環境アセスメント手続きでのアセス図書の縦覧について、「環境影響評価法等に基づき、定められた期間実施しております」との事業者の見解が示されていますが、そもそも法律では縦覧期間後の情報提供や開示を禁じているわけではなく、むしろ事業者が住民とのコミュニケーションを積極的にとることが環境アセスメントの目的です。「事業者のノウハウが含まれているためアセス図書の印刷は制限を設けている」とのことで、「あらまし」のみ閲覧可能としているとのことですが、「あらまし」では十分な情報は得られません。期間終了後にも全ての情報をネットで開示し続けることについてはどのような問題があるのでしょうか。
意見書
西条発電所1号機リプレース計画 環境影響評価方法書に対する意見書
関連書
西条発電所1号機リプレース計画 環境影響評価方法書の公表について