東京オフィスの鈴木です。インターンの朝日さんの報告に続き、350.orgのワークショップ参加報告その1を掲載させていただきます。
関連記事:NO!化石燃料・ワークショップ「化石燃料産業からの投資撤廃(ダイベストメント)」に参加して
化石燃料産業へのダイベストメント(投資撤退)
ダイベストメント(投資撤退)は投資を止めるというものですが、資本運用において株式を売却する以外にも、新たな投資をしないという選択もダイベストメントです。
今回のワークショップでは、ダイベストメントの基本を理解し、この運動を広げるためのキャンペーンスキルや戦略の考え方を学びました。化石燃料は地球温暖化に深刻な影響を及ぼしています。気候変動の場合、金融機関から化石燃料産業(特に石炭産業)への投融資をやめさせることが急務です。
国内外で石炭火力発電所を増やす日本
日本国内でも続々と石炭火力発電所の建設計画が増えていますが、日本が東南アジアやアフリカなどの発展途上国における石炭関連設備の建設に多額の融資をしていることにも留意すべきです。日本は、OECD加盟国の中で最大(2007年から2014年の8年間で約2兆円)の石炭支援国であることを考えれば、石炭へのダイベストメントにおいて日本の責任は重いのです。
応用可能な「キャンペーンのステップ」の考え方
プログラムの中では、ダイベストメントを進めるためのキャンペーンのステップを順々に考えていきました。
まずゴールを明確に意識した上で、意思決定者やキーアクターを洗い出し、そこで初めて起こる変化の仕組みを考えます。意思決定者や影響の伝わり方を考えた上で、何を起こせばどのような変化が起こせるかを段階的に考え、その変化を起こすためにできる行動の順番を考えるのです。
このキャンペーンのプロセスは面白いと思いました。目的を設定すると、その目的に向けてのプランとその行動を起こすための戦術や方法論に短絡的に飛びつきがちです。しかし、意思決定者やキーパーソンを分析し、何をすれば意思決定者を動かせるのか、Theory of Change(目標作り)とCritical Path(プラン)を段階的に考える手法は、色々な場面で応用ができるのではないでしょうか。
日本で活動することの難しさを乗り越える
ワークショップで紹介された海外の事例では、それぞれの国の事情も異なる中での成功体験の裏に、地道な活動と行動することの大切さが伺えました。
さて、同じような方法が日本でも成功できるのでしょうか?成功例に勇気づけられても、同じやり方をすれば成功するという簡単なものではありません。いくつかのグループに分かれて日本社会の中の「見えない壁」について意見を出し合い、日本の大学や金融機関、地方自治体、年金・保険機構の資金運用についての調査結果を踏まえて、各グループが選択したターゲットに向けたメッセージの出し方・内容を考えてみました。
ダイベストメントに関するキャンペーンのプランやポスターの作案を通して改めて気づくのは、人に何かを伝えるためには、その時々の状況や相手によって、(発信者の)思いをいかに伝えるかが大切だということです。
日本人の物事に対する認識レベルや社会的背景、行動することへの抵抗、問題意識の差、関心の薄さ、社会構造(意思決定プロセス)の複雑さ活動資金不足…などなど課題は山積みですが、日本でキャンペーン展開ができないということはありません。
現に、安保法案反対運動では今だかつてないほど大勢の人が夜な夜な国会前に集合し、声をあげています。小さな活動が集まり、つながり、協調することで大きな流れを作ることができるのです。
日本にも変化が。行動をつなげていこう
日本も変わりつつあります。「ダイベストメント」という言葉が一般的になるには、まだ時間がかかるかもしれませんが、脱石炭に限らず、様々な行動につながっていくことを期待しています。
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