はじめまして、9月から気候ネットワークでインターンをしています、朝日遥子と申します。
気候ネットワークで気候変動交渉関連をメインにインターン中
私は現在、京都大学大学院の修士1年生です。大学院のカリキュラムとして3ヶ月間のインターン研修制度が設けられており、修論のテーマに関係した機関またはプログラムで働くことが義務付けられています。私は気候ネットワークにて国連気候変動交渉関連の業務を中心に、NGO業務について幅広く働いています。
NO!化石燃料・ワークショップ「化石燃料作業からの投資撤廃(ダイベストメント)」
さて、9月19日、20日に行われました、350.org Japan主催のNO!化石燃料・ワークショップ「化石燃料作業からの投資撤廃(ダイベストメント)」に参加いたしました。2日間朝から夕方までダイベストメントについて、主にワークショップを通じて理解を深めるといったものでした。
まず、気候変動の現状や“ダイベストメント(DIVESTMENT)”について学びました。
気候変動の現状~化石燃料から自然エネルギーへ~
気候変動の原因となる温室効果ガスは、化石燃料を燃やすことで排出されます。危険な気候変動を避けるために、科学者たちは、世界中に埋蔵が確認されている化石燃料資源(石油、石炭、天然ガス)の8割は地中に残しておく必要があるとしています。つまり、今まで依存できた化石燃料資源の使用をやめて、自然エネルギーへ急速に移行する必要があります。
「投資撤廃(ダイベストメント)」とは?
そのために「投資撤退(ダイベストメント:Divestment)」という活動があります。これは 不道徳で非倫理的な取引に反対するための戦術の一つで、資産運用者に対し、特定の保有株式、債券、投資ファンドの売却を要求することです。
脱炭素社会を目指す市民団体や学生は、安全な気候をまもるため、そして持続可能な未来を実現するため、公的資金を運用している機関投資家や民間銀行などに対し、化石燃料産業への投資撤退を要求しています。この動きを「ダイベストメント」と呼んでいます。
関連記事:化石燃料を「歴史」にしよう~2月13-14日はグローバル・ダイベストメント・デイ~
そもそも「ダイベストメント」は、1970-80年代に南アフリカのアパルトヘイト「人種隔離政策」に反対する国際的キャンペーンで活用された運動です。当時の大学生が、南アフリカ政府関連企業の保有株式、債券、投資ファンドの売却を要求し、経済的な側面から、人種差別に反対する国際社会からのプレッシャーをかけたのです。米国で始まったこの運動は、1989年には26州、90 都市の大学155校に広がり、アパルトヘイト撤廃の後押しになりました。
気候変動は、アパルトヘイトと同じように、人類にとって深刻な問題です。このため、アパルトヘイトと同じように、化石燃料産業からのダイベストメント運動も世界中に広がっているのです。
すでに、43か国において、430の機関・2040の個人が、2.6兆米ドルもの資産について、化石燃料のダイベストメントを確約しているそうです。
ダイベストメント~海外での成功事例~
印象に残ったのは、海外におけるダイベストメントの成功事例が紹介された、ディスカッションでした(インターネット中継でした)。スウェーデン、イギリス、オランダで実際にダイベストメントを成功させた3つの事例について紹介していただきました。
中でも、スウェーデンの事例は大学を対象としたダイベストメントだったのですが、大学の委員会が開かれる時間帯に合わせてダイベストメントを訴えるデモを行う、1年半の署名活動をもとに、ダイベストメントを求めるオープンレター(公開書簡)を大学側へ提出する、メディアを利用するなどの活動を通して、大学の一部の資金に関してダイベストメントさせることに成功したというお話でした。私は大学院生なのでキャンペーン内容についてより身近に感じることができ、非常に刺激を受けたお話でした。
キャンペーンを企画しよう!
ダイベストメントに関する海外事例や実際の化石燃料への投融資額の調査結果をうけて、ダイベストメントのキャンペーンを企画するというワークショップを行いました。まずはキャンペーンにおけるGoalと対象(大学、地方自治体、銀行、保険、年金基金から一つ)を決め、その組織における最高意思決定者が誰なのかを考えました。そして最高意思決定者に影響を与えるキーパーソンやキャンペーン方法について各自で案を出し合い、一つのキャンペーンとして企画した案をグループごとで発表し合い、意見交換をしました。
ちなみに私たちのグループは“上智大学”を対象としたダイベストメントを企画しました。
ワークショップを振り返って~行動することが大事~
このようなNGOのワークショップに参加するのは初めてだったのですが、参加されたみなさん率先して発言したり、他のNGOでの活動も積極的に参加していたりと、非常に意欲的で行動力のある方たちばかりだと感じました。みなさん、温暖化を解決したいという同じ目標に向かっているのですが、ワークショップを通じて、効果的なアプローチに対する考え方やキャンペーンにおける課題の着眼点の違いなどを垣間見ることができ、非常に興味深く刺激的なワークショップでした。
また、このワークショップを通じて、積極的に行動することが大事だと実感しました。確かに、温暖化問題にはその影響など不確実なこともあり、またキャンペーンにおいても実行可能性や実現可能性など不透明な部分も多々あるのですが、そこに少しでも可能性があるのならば私たちは行動しなければならないと実感しました。
そのため、私はこのダイベストメントについて、まずは情報を友人等に共有し、ダイベストメント活動に対して認知を高めたいと思います。また自分自身でダイベストメントについてより深く調べ、日本初のダイベストメント実現に向けて色々な活動に参加していきたいと思っております。
みなさんもぜひNGOの活動に少しでも興味を持っていただいて、調べたり参加したりしていただければ幸いです。まずは、10月10日に京都で開催されるシンポジウム「市民が進める温暖化防止」です。350.org Japanの古野さんも登壇されるので、ぜひみなさんシンポジウムに来てみてくださいね!
イベント:2015年10月10日(土)Climate Action Now!シンポジウム「市民が進める温暖化防止2015 ~パリ会議まで50日!~」[京都]
ワークショップ主催団体”350.org”の紹介
まず、350.orgは国際的環境団体で、気候変動問題に取り組むためアメリカで生まれました。この団体はオンラインツールを駆使して草の根に働きかけ、人々が気候変動問題に対して実際に行動を起こすためのキャンペーンを展開しています。この”350”とは、地球が従来の環境を維持するうえで上限となる大気中の二酸化炭素濃度(ppm)を示しており、多くのイベントを通じて、350.orgは気候変動へのアクションという目的で地域レベルでの新たなつながりを形成しています。
この記事を書いた人
- 気候ネットワークに所属されていた方々、インターンの方々が執筆者となっております。
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