気候変動対策を日本が強化するために、今、非常に重要なタイミングを迎えています。
そう。「エネルギー基本計画」の改定があるからです。
2020年12月10日から、環境NGOや市民・若者グループなどが合同で、2021年のエネルギー基本計画や地球温暖化対策計画の改定に合わせ、パリ協定と整合的な削減目標とエネルギー政策の見直しを求めるキャンペーン「あと4年、未来を守れるのは今」を展開しています。
このキャンペーンの期間中、より多くの署名を集めるため、気候ネットワークでも署名の協力を呼びかけてきました。現時点で14万筆を越える勢いで集まっています。これを読んでくださっている方、もし署名をまだしていないという場合は、是非署名をお願いします!
エネルギー基本計画に市民の意見を!
さて、このキャンペーンを知らなかったという方のためにも、最初にざっくりと概要をご紹介しておきたいと思います。
日本のCO2排出量の9割以上はエネルギー起源(化石燃料を燃やしてエネルギーとして使う)です。そのため、日本のエネルギー政策の根幹となっている「エネルギー基本計画」は、パリ協定の1.5度目標と整合的な排出削減目標と道筋を形づくる上で、極めて重要です。
そこで、このエネルギー基本計画の改定のタイミングが非常に重要だと考えた環境団体や若者たちが一緒になって、国民的議論を巻き起こそうとはじめたのが「あと4年、未来を守れるのは今」のキャンペーンです。
現在、エネルギー基本計画の議論は、経済産業省の審議会「基本政策分科会」で行われていますが、この分科会の事務局は原発や石炭火力を推進してきた経済産業省であり、委員会の構成メンバーも経産省やエネルギー関連産業の強い意向を汲んだ人が多数選ばれています。気候科学に基づく主張をする環境NGOや、気候変動の被害を直接受けるリスクが高い若者たちの声が議論に反映される余地がありません。
気候変動は、本当に今危機的な状況を迎えています。明らかに昔とは違うレベルの異常気象が各地で発生し、多くの命や生活が奪われているのです。気候変動は科学者が予測していた以上のスピードで進行し、大気中のCO2濃度は400ppmを越え、人類史上経験のないレベルに達しています。すでに産業革命前から1度以上気温が上昇し、早ければ2030年までには1.5度の上昇に達してしまうと言われています。パリ協定で定める1.5度目標には、世界全体の温室効果ガス排出量を2010年比で2030年までに45%削減、2050年までに実質ゼロにする必要があります。これまでたくさんのCO2を出してきた先進国である日本は、それ以上の削減が必要でしょう。対応するのは、まさに「今」です。
2050年カーボンゼロ宣言の意味は?
2020年10月に菅義偉首相が、2050年に温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しました。しかし、2050年ネットゼロ目標を設定するだけでは、気温上昇1.5度抑制を実現することはできません。政府の本気度が問われますが、審議会の議論では、原子力政策強化、水素・アンモニア混焼の火力発電、CCUS(炭素回収利用貯留)やカーボンリサイクルといった、まだ未確立の技術のイノベーション頼みになっています。また、2030年の削減目標の深堀には言及されていませんし、2050年に向けたエネルギーシフトに向かっていないことが見てとれます。
私たちは、市民社会全体で気候危機を乗り越えるためのうねりをつくり、政策を変えていくために行動を起こさなければなりません。
4月22日に、米国バイデン大統領主催の気候サミットが開催される予定です。日本でもこの機会にあわせて温室効果ガスの削減目標を掲げるよう市民社会として声をあげるため、若者たちが中心になってデモを企画し、すべての世代の人たちに参加をよびかけています。
ぜひ、万全のコロナ対策の上、お近くでのアクションにご参加ください!(地元でアクションが予定されていない場合は、ご自身で企画してみてください!)
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