こんにちは。京都事務所のアシュリーです。3月に訪問したマレーシアの小学校の子どもたちの取り組みについて紹介します。

マレーシア・イスカンダル地域、低炭素社会への取り組み

2005年から京都市で始まった温暖化防止教育「こどもエコライフチャレンジ」は、他地域にも取り組みを広げており、2013年からはマレーシアのイスカンダル開発地域でも実施されています。

イスカンダル開発地域は、低炭素社会づくりに熱心に取り組んでいる地域で、マレーシア版こどもエコライフチャレンジもその取り組みのひとつです。このマレーシア版こどもエコライフチャレンジは、京都のこどもエコライフチャレンジをもとに、そこにマレーシアらしいアレンジを加えたものになっています。

マレーシア版こどもエコライフチャレンジとは?

マレーシア版こどもエコライフチャレンジは、子どもたちが低炭素社会について理解を深め、炭素排出量の削減にチャレンジするという目的のもとデザインされました。

子どもたちは、エコライフチャレンジとして次の3つの活動に取り組みます。

  1. グループでワークブックに取り組む
  2. 小学校内で電気代・水道代削減キャンペーンを行う
  3. リサイクル品収集キャンペーンを行う

この3つの活動の成果はマレーシア工科大学(プログラムのコーディネーター)に送られ総合的に評価されます。それをもとに上位15校が選ばれ、最終発表会が行われます。

発表会では、子どもたちがエコライフチャレンジで学んだこと、そして自分たちの地域を低炭素社会にするために自分たちには何ができるかについて発表し、優秀校が選ばれます。

電気代・水道代削減とリサイクル品収集キャンペーンや最終発表会は、具体的な数字を使って競争する要素を加えたマレーシア版のオリジナルな部分です。

2016年からは、これに加え、学習したことを定着・継続させていくための振り返り学習会をパイロット校で行う試みが始まりました。振り返り学習会は、子どもたちがそれまでに取り組んだエコライフを振り返り、今後の目標を決めて発表するというグループワーク。これからより多くの学校でこの取り組みが実施されるよう期待されています。

その他にどんな取り組みをしているの?

今回、エコライフに熱心に取り組む2つの小学校を訪問しました。それぞれのキャンペーンにむけて、分別用ごみ箱の設置や時間を決めて電気を消す取り組みなどが行われていましたが、それ以外にもさまざまな取り組みが行われているのが分かりました。

例えば今回訪問した両方の学校で生ごみなどから肥料を作り野菜や植物を育ており、その活動について熱心に説明してくれました。またそのような活動には、エコライフチャレンジの対象となっている6年生だけでなく、学校全体で取り組んでいるのが印象的でした。

肥料をつくる「ミラクル・タンク」。どのようにして肥料ができるのかを説明してくれた。

ココナツの殻から土を作り植物を栽培している。生姜の収穫の様子を見せてくれた。

学校全体でエコライフに取り組む。子どもたちは取り組んでいる活動のジャンルごとにワッペンをつけている。ワッペンの一覧表。

 

イスカンダル開発地域は、マレーシアの重要な開発対象地域であり、経済成長により急速な温室効果ガス排出量増加が危惧されている地域です。しかし、今回子どもたちの取り組みの様子を見て、低炭素社会づくりが始まっているのを実感しました。子どもたちのこの取り組みが、家庭やコミュニティに広がり、地域全体で低炭素社会を目指していってほしいと思いました。

 

 

この記事を書いた人

気候ネットワーク
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気候ネットワークに所属されていた方々、インターンの方々が執筆者となっております。