みなさんは、パワーシフトもうされていますか?パワーシフトとは、「自然エネルギーが中心となった持続可能なエネルギー社会にむけて、電力(パワー)のあり方を、変えていくこと」1です。

2016年の電力小売全面自由化によって、私たちが家庭で使う電気も自分たちで選べるようになりました。食べ物やファッション、交通手段に環境配慮の視点を取り入れるように、使う電気もできるだけ自然エネルギーを使いたいと思ったことはありませんか?

パワーシフト・キャンペーンのウェブサイトリーフレットを参考にすれば、電気の切り替えもとっても簡単です。地域別に選べる「パワーシフトな電力会社」が紹介されているので、ぜひ見てみてください。

パワーシフト・キャンペーン ウェブサイトより

パワーシフトで紹介されている、三河の山里コミュニティパワーに見学に行ってきました!

今年からパワーシフトに参加している、三河の山里コミュニティパワー(MYパワー)に3月に見学に行きました。愛知県豊田市の中山間地域にある足助(あすけ)病院の地域医療活動から生まれた会社で、地域での売電利益の一部を地域の課題解決に活用しています。

過疎化が進むこの地域からは、毎年たくさんのお金が電気代として地域外に流出しています。そこで、再エネを活用して、山村地域内でお金を地域循環させ、人口減少、行政サービスの縮小、地域の医療やお年寄りの移動手段といった地域課題の解決に、お金や人材が投入できるよう活動されています。

たすけあいプロジェクト(高齢者の健康見守りや移動支援)、おたがいさま電力(集落単位で電力を切り替えてもらい、その収益で草刈りや神社の修繕、事務員の雇用を実施)のほか、再エネ普及の一環としてPVカーポートの設置も行っています。

見学した足助病院のカーポートでは、電気自動車4台分が充電でき、残った電力は病院に供給されていました。太陽光パネルと電気自動車の組み合わせは、災害時にも非常に役に立ちます。

再エネが脱炭素に貢献することはもちろんですが、日々利用する電気を変えていくことで、社会の構図を変え、現在地域社会が抱えている問題も解決していくことができる、と実感した日でした。

パワーシフト市民アンバサダーからのメッセージ

自然エネルギーを増やしていくためにパワーシフトを推進する”パワーシフトアンバサダー”からのメッセージです。

気候ネットワーク職員で、パワーシフト・キャンペーンの市民アンバサダーでもある森山です。福島原発事故をきっかけに、自分の使う電気を選びたいと思うようになり、電力小売自由化後に自宅の電力契約を再エネの電力会社に切り替えました。

自宅の電力契約を再エネによる電力にパワーシフトすれば、それだけで家庭からのCO2排出量を約半分に減らすことができます(オール電化の家庭ならもっと減らせます)。パワーシフトは簡単なうえに効果が大きいので、個人でできる気候変動対策として、一番初めにお勧めしたいことの一つです。

再エネの電力を販売する会社はたくさんありますが、パワーシフト・キャンペーンでは、地域社会との対立や自然環境の破壊がない持続可能性のある再エネ電力を調達していること、原子力発電所や石炭火力発電所との契約がないこと、地域や市民が管理するエネルギーを重視していること、電源構成などの情報開示をしていることなどの条件に合う電力会社を選び、キャンペーンのウェブサイト(https://power-shift.org/choice/)で紹介しています。

自宅の電力を再エネに切り替えると聞くと、工事が必要で手間がかかると想像する方もいるかもしれません。ですが、パワーシフトは電力の購入先を再エネ重視の会社に変えるだけなので、工事は不要、手続きも簡単です。

まずは、毎月家に届く電気使用量の検針票を用意して、そこに書かれている「供給地点番号」を確認してください。次に、選びたい電力会社にウェブサイトや電話で申し込みして、「供給地点番号」を伝えれば完了です。今までの電力会社の解約手続きは、新しい電力会社が代わりにやってくれます。工事は不要なので、一戸建てでも集合住宅でも申し込みできます(ただし、マンションが一括受電の場合はマンション全体での契約変更が必要です)。

パワーシフト・キャンペーンでは、再エネへの切り替えを広げるために一緒に情報発信に取り組む「パワーシフト市民アンバサダー」を定期的に募集しています。参加者は数回の講座で気候変動や電気、情報リテラシーについて学び、市民アンバサダーに任命されます。市民アンバサダーの募集情報は、募集がある際にパワーシフト・キャンペーンのウェブサイト(https://power-shift.org/)やインスタグラム(https://www.instagram.com/powershift_energy/)に掲載されます。

  1. https://power-shift.org/powershift/ ↩︎

この記事を書いた人

菅原 怜
菅原 怜
気候ネットワーク京都事務所スタッフ