こんにちは!気候ネットワークインターン生の田上真衣です。
7月20日に自然エネルギー学校・京都2024の第2回が開催されました。
今回は「家庭の脱炭素化を広げよう!」をテーマとしており、ここでは竹内昌義さん(株式会社エネルギーまちづくり社代表取締役、みかんぐみ共同代表、東北芸術工科大学 教授)、小川祐貴さん(株式会社E-konzal主任研究員)による講演内容についてご紹介します。
自然エネルギー学校・京都とは?
2023年は世界の平均気温が産業革命前と比較して1.5℃近く上昇し、史上最も気温が高い一年となり、グテーレス国連事務総長はこの状況を「地球沸騰化」と表現しました。COP28では2030年までのエネルギー効率2倍・再エネ3倍が世界の目標として合意され、化石燃料からのエネルギー転換の重要性が強調されました。脱炭素化に向けた動きを加速する必要がある中、自然エネルギーを軸とした脱炭素社会の担い手が求められています。
自然エネルギー学校・京都は、1999年以来600名以上に参加いただいてきた体験型の連続講座です。2024年は全5回の講座を通して、自然エネルギーに関する最新情報及び基礎知識、実践経験などを学び、自然エネルギーを普及・啓発するための担い手となることを目指しています。
講演1:「脱炭素とは何か」(竹内昌義さん)
竹内さんは、家庭の脱炭素化の取り組みや効果について講演されました。
近年、日本の住宅は断熱性能が向上してきています。2025年には、断熱性能の基準として断熱等級4が法律で義務化される予定ですが、竹内さんはさらに高い断熱性能が必要だと指摘しています。
より高い断熱性能を実現することで、エネルギー効率が向上し住環境が改善されるだけでなく、日本全体のエネルギー消費による経済的な流出を防ぐ効果も期待できます。竹内さんは、脱炭素社会の実現はエネルギーの海外依存を減らし、経済の安定や新しい産業や雇用の創出に繋がると強調しています。2030年には、すべての新築がネットゼロエネルギービル(ZEB)となることが期待されています。
DIYでできる家庭の断熱
竹内さんは、家庭で簡単にできる断熱性能向上の方法について紹介されました。
断熱をするためには、断熱材で囲むこと、隙間風を防ぐこと、上昇気流をなくすことが重要です。ホームセンターで手に入るブラインドやポリカーボネートを使うことで、特別な技術や道具がなくても断熱効果が得られます。それによって、エアコンの使用を減らし、CO2排出量の削減にも繋がります。
竹内さんのお話は、家庭でできる具体的な取り組みを通じて、持続可能な社会を目指すことの大切さを教えてくれました。私たちができることを積み重ね、持続可能な社会を目指すための一歩を踏み出すことが求められています。
講演2:「家庭でのエネルギー利用を脱炭素化するということ」(小川祐貴さん)
小川さんは、自らが住む脱炭素住宅についてお話しされました。
小川さんの家では、オール電化、太陽光発電、そして電気自動車と家庭をつなぐV2H(Vehicle to Home)システムを取り入れています。このような家に住むことで、家庭のエネルギー自給率は90%に達し、戸建住宅の地方平均と比べてCO2排出量を85%も削減することに成功しています。加えて、家の断熱性能が向上することで、結露がなくなり、寒暖差アレルギーの改善など、健康面でもメリットがあると話されました。コスト面でも、初期投資は必要ですが、電気料金の節約や売電収入により、小川さんの場合は20年間で64万円のコスト削減が見込めるという試算がされています。
エネルギー自給がリスク回避に
気候変動やエネルギー価格の変動を考慮すると、今後の生活や家づくりにおいてどのような選択をすべきかを検討することが重要です。気候変動による影響は避けられず、排出削減が進んだとしても気温上昇はすぐに止まるわけではありません。そのため、住宅の断熱性能を高めることは、命を守るための重要な対策となります。
また、気象災害のリスクが高まる中、災害対策としてエネルギー自給を進めることが、今後の安心な生活に繋がります。近年の化石燃料国際市場の混乱によって、エネルギー価格の突発的な上昇リスクが増えています。こうした状況に対して、エネルギー自給を進めるための投資は将来のリスク回避に繋がります。
最後に
自然エネルギー学校第2回では、「家庭の脱炭素化を広げよう!」をテーマに家庭で実施できる脱炭素化の手段として断熱の方法についてご紹介しました。
カーボンバジェットの残りが減少していく中で、私たちが無理なくできるところから行動を起こすことが重要です。小さな行動を積み重ね、持続可能な未来に繋げていきましょう。
第3回の自然エネルギー学校は「EVによる脱炭素化を広げよう!」をテーマに8月31日(土)に開催されます。交通分野の脱炭素化においてEVの役割は大きく、最近では国内での導入量も徐々に増えてきていますが、課題も山積しているようです。EVに関する最新情報や将来的な潮流、日常生活での体験事例も含めながら学びます。
皆さんの積極的な参加をお待ちしております。
この記事を書いた人
- 気候ネットワークに所属されていた方々、インターンの方々が執筆者となっております。
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