「1.家の条件と不動産屋の情報」に続いて、今回は高気密高断熱に関連し、窓や24時間換気システムについて書いておきたいと思います。
中古物件でC値・UA値やQ値などがわからないまま購入したのですが、ハウスメーカーの従来の理念から「高気密高断熱」であると確信し、選んだ家でした。
2.高気密高断熱住宅について
引っ越した日に実感
引っ越しは2023年1月下旬、一年で最も寒いシーズンです。旧宅ではガスストーブを使っており、その部屋だけは唯一暖かかったのですが、部屋を一歩出れば極寒です。年末年始に冷蔵庫に食品が入りきらないときは、玄関や階段が冷蔵庫替わりになるような家でした。大寒波が来る直前で、引っ越しした後に寒波を迎えることになったのですが、今までの冷蔵庫のような寒さの家はなんだったのかと思うくらい、家の隅々まで暖かくて感動しました。エアコン一台で部屋の隅々まで暖かく20度をキープしていました。ただ、若干玄関あたりは多少の冷気が溜まるような感じで、そこは、断熱性能6や7の家とは違うのかもしれません。
高気密高断熱住宅とは
「高気密高断熱」という言い方には、実は具体的な定義がないようです。キーワードで中古物件を見つけるのは至難の業でした。日本の断熱基準は、私が家を選んでいる最中に「建築物省エネ法改正」の議論が行われ、断熱基準5~7が新設されることになりました。2025年から新基準が導入されることになっています。つまり、中古も、新築も、「省エネ基準達成」と書いてあっても、家を選んでいるでは「断熱基準4」あれば、「最高水準」と言えてしまうことになります。
図のように、窓は熱の出入りが最も大きく、冬場で58%、夏場で73%とされています。窓の断熱性能をあげることは、後々の冷暖房費に大きく影響します。私が今の家に最終的に決めた理由は、窓のこだわりでした。木製サッシのトリプルガラスです。
木製の窓枠のイメージ
25年前、私が群馬で住んでいた一軒家は、当時築70年の古い家で、木枠の一枚ガラスの窓の家でした。木枠がゆがんで、酷いところでは1㎝くらいの隙間があり、窓を閉めていても風が家の中を吹き抜けるようなところだったのです。群馬の冬は、有名な”上州空っ風”と言われる北西の風が山から吹き下ろしてきます。私が住んでいる場所も榛名山から下りてくる”榛名おろし”が吹く場所で、それはそれは寒く、こたつと石油ストーブから離れられませんでした。そのような経験から、昔は木の窓枠=すきま風のイメージしかありませんでした。
しかし今の窓枠は全く違います。木自体の持つ断熱性と密閉するゴムパッキンとで、外気を遮断してくれます。ガラスも3枚になることで、より断熱性が高まります。内窓リフォームを考えている方には、木製サッシをお勧めしたいです。
トリプルガラス
ガラス窓は枚数が増えれ、さらにガラスの間に断熱効果のあるアルゴンガスなどが入っていれば断熱性能は高まります。しかし、これだけでは日射を遮断していません。うちの場合、東側の窓からの日差しが直に部屋に入るため、夏場は日射によってかなり部屋があたたまることがわかりました。冬はこの温かさが快適なのですが、夏場はエアコンの効率を下げてしまっているようです。日射遮蔽には、窓自体を特殊なフィルムで加工したりする方法もありますが、それによって冬あたたまりにくくなるかと思うと微妙です。夏場だけ外側に日よけのすだれやオーニングをつけたり、緑のカーテンをしたりする方が効果が高いのではないかと思います。
断熱と言えば樹脂サッシ?
最近は、窓の断熱性能を高めるために、これまで主流だったアルミサッシから樹脂サッシが主流になってきています。樹脂サッシの材料は塩化ビニル、つまり石油製品です。断熱性の点では優れているのかもしれませんが、社会全体が脱プラの流れがある中で、プラの使用拡大につながっている分野になってしまってるようです。新築の家の大半で樹脂が使われていましたが、木製サッシの家は非常に少ないです。国産材の木製サッシがもっと広がるといいのにと思います。
24時間換気システムについて
さらに断熱のポイントとしては、24時間換気システムも大事な要素です。現在、2003年以降は設置が義務化されている24時間換気システムですが、給気口と排気口の両方に機械がついていて熱交換をするタイプ(第一種換気)か、給気口側は外の風がそのまま入り、排気口だけ換気扇を回すタイプ(第三種換気)か、どちらを選ぶかでその後のエネルギー消費もかなり違ってくると思います。
第三種換気は、冬場、外気がそのまま家の中に入ってくるので、暖房の効率を下げることになります。第一種換気は部屋の温度とほとんど変わらない温度の空気を取り込むことができます。大がかりな機械なので、掃除も大変ですが、消費電力もそれほど大きくなく、快適です。
断熱性能はもっと高められる
エアコン一台で一階のすべての部屋が快適になります。無断熱だった前の家に比べたら、天と地ほどの差がありますが、一方で断熱性能6や7であれば、もっと空調の消費電力が減らせるのではないかという実感があるのも事実です。建築物省エネ法の法改正で、今後はこうした住宅が増えることが期待されます。
つづく→3.太陽光パネルと蓄電池
この記事を書いた人
最新の投稿
- スタッフの日々2023年8月17日住宅脱炭素(4)光熱費とCO2排出量
- スタッフの日々2023年8月16日住宅脱炭素(3)太陽光パネルと蓄電池
- スタッフの日々2023年8月15日住宅脱炭素(2)高気密高断熱住宅について
- スタッフの日々2023年8月14日住宅脱炭素(1)家の条件と不動産屋の情報