4月10日、横須賀のヨコスカ・ベイサイド・ポケットにて、映画「グレタ ひとりぼっちの挑戦」の上映会が行われました。この上映会は、気候変動について考え行動できるきっかけになることを願って、横須賀市や三浦市の市民が企画したものです。

この映画の主人公のスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんは、15歳の時から「気候のための学校ストライキ」という看板を掲げ、学校を休んで政府に気候変動に対する行動を求めました。グレタさんの始めた活動が、若者を中心に世界に広がっていく様子や、2019年ニューヨークで開催された国連気候変動サミットに参加するためにヨットで大西洋を横断することになったプロセスが描かれています。(詳しくはこちら

今回の上映会に協力する形で気候ネットワークの東京事務所から4名が運営スタッフとして参加しました。

予想を上回った参加者数

映画「グレタ ひとりぼっちの挑戦」は当日3回上映され、来場者数は合わせて1011名と、我々の予想を大きく超えました。年齢層は幅広く、小学生のお子さんを連れたご家族も多く、グレタさんと同じくらいの年齢の方もいらっしゃいました。

この上映会の開催に当たっては、横須賀火力発電所建設を考える会の皆さんが映画「グレタひとりぼっちの挑戦」上映実行委員会を立ち上げました。また、石炭火力建設に反対する団体や環境NPOだけではなく、農家さんやカフェ、労働組合など地域の多種多様な組織の賛同を得て実現しました。更に、横須賀市・三浦市の教育委員会も後援に入っており、学校での告知も行われました。実行委員のメンバーからは次のようなコメントがありました。

”長いこと地道に地域のグループに石炭火力発電所建設の問題について働きかけてきて、それが今回ここまで広がった”

”まだまだ市民運動の広がりは足りないけれど、今回これだけ人が集まったからこれからまた変わっていくかもしれない”

石炭火力発電所の問題は地元の方でも知らないうちに進んでいることが少なくないですが、横須賀では、地域の方々の地道な活動がきっかけで、その問題意識が多くの人に広がってきていることを感じました。

「手作り感」に感じる市民の連携

当日は市民の横の連携を感じさせる「工夫」も場内にあふれていました。スタッフひとりひとりに渡された手作りのカラフルなバッジや、賛同するグループや個人がメッセージを寄せた大きなボード、映画を見終わった方が寄せ書きできる幕やグレタさんのレインコートの形をしたポストイット。当日は上映中に小さいお子さんを預けることのできる託児所も用意され、子育て中の方が参加しやすい工夫を感じることができました。

実行委員会のメンバーの皆さんがこの上映会を成功させたい、一人でも多くの方にこのメッセージが届いてほしい、と心から願っていることがよくわかる、創意工夫に溢れた、開かれた雰囲気の上映会でした。

行動するのは特別な誰かじゃなくていい

当日3回行われた各上映会の冒頭では、それぞれFridays For Future Yokosukaの原さん、市内の有機農家であるSHO Farmの仲野さん、国際環境NGO FoE Japanの高橋さんがスピーチをされました。観客の方々に向けて、待っていても社会は変わらないこと、気候変動をもたらす抑圧や不正義に対する態度を多くの人が表明すれば社会を変えられること、社会に変化を起こすための一歩を今踏み出してほしいことを伝えました。

グレタさんは映画の中で、「人間は集団で生きるため、それぞれに役割がある。早くに危機に気が付いた人は皆にそれを伝える必要がある」と言います。

この映画はグレタさんの暮らし、怒り、喜びと不安が等身大の目線で描かれています。決して「グレタさんの特別さ」を伝えるための映画ではありません。”グレタは日々激甚化する気候危機から目をそらすことができなかった。あなたはどうですか?”と、こちら側の意思を問う映画だと感じます。

日本でも気候危機に対し行動を起こす人が増えてきていて、横須賀を中心とした市民の皆さんの思いが今回の上映会にもつながっています。上映会後のアンケートでは、「周りにも気候危機について伝えたいと思った」「行動する勇気をもらった」といった力強いコメントが寄せられました。この映画を観た方が、一人でも多く気候変動を止めるために発言・行動し、横須賀の活動が社会の変化に大きく影響していくことを願ってやみません。

4月24日は横須賀で気候マーチに参加しよう!

4月24日に横須賀のヴェルニー公園で13:30から気候マーチが行われます。

温暖化を止めるために待ったなしで対策するべきにも関わらず、上映会が行われた横須賀市では、株式会社JERAによる大規模火力発電所の建設が進んでいます。現に気候変動の影響をあらゆる世代が受けているのに、温室効果ガスを大量に排出する石炭火力発電所を建設しているJERAは、将来世代に対して無責任ではないでしょうか。
(この石炭火力発電の問題点についてもっと知りたい方はこちら

当日のマーチでは、気候変動対策の強化と石炭火力発電の廃止を訴えます。マーチへの参加が初めてという方も、この機会に参加してみませんか?

マーチに参加する以外にも、一人一人ができることは沢山あります。
気候ネットワークが作成した気候アクションガイドはこちら

この記事を書いた人

Kobata