初参加!自然エネルギー学校!
初めまして!8月からインターン生として気候ネットワークで活動させて頂いている深海大輔といいます。今年も開講されました「自然エネルギー学校・京都2016」にスタッフ、そして一受講生として参加させていただき、再生エネルギー時代到来の現在と未来について、多くのことを考えさせていただく大変意義ある時間となりました。
このブログでは活動の報告と合わせて、受講生として感じた再生可能エネルギーや自然エネルギー100%が実現可能なのかといった議論等を紹介していきます。
自然エネルギー学校については、過去のブログ 「自然エネルギー学校に参加してーボランティアとして考えたこと」にも紹介されていますので、そちらの記事も読んで頂けると幸いです。
開講!自然エネルギー学校!
9月3日、京都は京エコロジーセンターにて自然エネルギー学校2016の第1回が開講されました。第1回のテーマは「自然エネルギー100%時代の到来!」でした。再生可能エネルギーによる電力供給のあり方を市民という立場から考える回となっています。総勢20名ほどの方々が参加されていました。
午後1時半頃開始、企画・運営に携わった方々の挨拶・連絡から始まり一旦アイスブレイクを挟みました。この間、参加されている方々の簡易的な自己紹介、参加動機などを良い雰囲気の中で確認し合います。これから講義を重ねる中で、各々の動機や興味のベクトルを知っておくことは、年代や団体問わず同じ場所で学ぶ者として非常に大切なことであると感じました。
「再生可能エネルギー100%時代の到来」~市民パワーで原発もCO2もゼロの社会へ~
いよいよ、本日のメインである講義が始まります。今回は和歌山大学客員教授であり自然エネルギー市民の会の代表でもある和田武先生をお招きしての講義でした。『「再生可能エネルギー100%時代の到来」~市民パワーで原発もCO2もゼロの社会へ~』と題され開始された講義は、大まかに①世界の地球温暖化防止・エネルギー動向、②市民主導で再生可能エネルギー普及を推進するデンマークとドイツ、③日本での市民・地域主導の再生可能エネルギーによる持続可能社会の実現、という 3つのテーマから構成されていました。 3つのテーマから構成されていました。
1. 世界の地球温暖化防止・エネルギー動向
まず、パリ協定について触れ、地球温暖化と原発事故による危機的未来の回避には再エネの飛躍的普及が必要であるが、日本は各国と比べて削減目標が低いことを挙げられていました。
ご存知の方も多いと思いますが、パリ協定は工業化前からの地球平均温度上昇を2℃より十分下回る水準に抑える、つまり1.5℃未満を追求しています。この2℃未満抑えるという目標は、現在確認されている化石燃料埋蔵量の大半は使えないことを意味します。そして、今世紀後半(早ければ2050年頃)に世界の温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることに合意されています。このためには、再エネの普及が不可欠です。
一概に再エネといってもその方法は多々あり、水力、風力、地熱やバイオマス、太陽光、太陽熱、ほかにも海洋エネルギーなどがあります。これら再エネの重要性は、地球温暖化の防止(CO2削減)はもとより、有限な地下資源のコスト問題、さらには原子力発電所の危機を回避する社会の構築につながります。
このような再エネ利用における世界の動向として、次の点が紹介されました。
- 再エネ利用が発電、熱利用、輸送用燃料のすべてで伸びており、種類別では太陽光エネルギーと風力発電が顕著である。
- 途上国でも再エネの導入が広がり、その転換が進みつつある。その要因として再エネ普及政策や普及目標を導入する国・州等の増加、投資額の増加などがある。
- 将来的に再エネ100%を目指す動きが国・自治体・地域に広まりつつある。
- 再エネコストの低減が進み、化石燃料や原発とのコスト競争が有利となり、将来的にさらに安価になる見通しが生まれている。
- 市民・地域主体の再エネ普及が地域社会の自立をもたらすことが認識され、取り組みが広がっている。
- 「国際再生可能エネルギー機関(IRENA)」の設立と加盟国の増加、COP21とそこでのパリ協定採択による温室効果ガス削減強化の動き等が、再エネ普及をこれまで以上に加速させつつある。
個人的には、日本の削減目標の低さや国を挙げての改善の意思があまり感じられないことが非常に残念でした。
発電効率がいいとされる火力発電や原子力発電に頼ることは、長期的に見てもただの延命で、地球という身を削っているに過ぎません。先進国とされている日本で、システムから作り変える、ないし移行を図っていくことは確かにコストや時間のかかることです。しかし、そうやって先延ばしにしてきたことが今につながっていることも事実です。再エネにおいての後進国になってしまわぬよう、他国のよいサンプルから学び、行動に移していかねばと強く感じました。
2. 市民主導で再生可能エネルギー普及を推進するデンマークとドイツ
ドイツ・デンマークの二国の再生可能エネルギー普及が飛躍的に進んでおり、その要因として国の積極的普及推進政策や市民・地域主体の普及方法、それらによる社会的好影響があることが挙げられていました。活動が環境意識を向上させ、世論を動かし、好循環を生んでいる傾向がみられるということです。
この二国は市民レベルから取り組みを図っており、それがよい方向に働いた例です。日本の国民性などももちろん考慮に入れた上で参考にするべきなのはわかりますが、私は、再エネの取り組みや二酸化炭素削減等についてはもっと規模の大きい考え方、つまり地球市民として考えていくべきなのではと思いました。規模の大きなことですが、それを個人という最小の単位から徐々に徐々に広げていくこと、意識の改革が必要であると言えます。
3. 日本での市民・地域主導での再生可能エネルギーによる持続可能社会の実現
まとめとして大事なことは、これら再エネ社会を目指すことは日本にも可能であり、それには市民の協力が不可欠であるということです。また、電力会社を通して国民負担で企業が利益を得るやり方ではなく、国民負担で市民・地域に利益が還元される仕組みが普及していて、電力の生産・供給・消費を市民のコントロールする時代を迎えることも想定されています。
以上は講義の一部でありますが、講義の最後に先生がおっしゃられていたのは『いま、私たちが動き出すことが大事』ということです。生産者・消費者・主権者として市民・地域主体の自主的取り組みを強化していくことが、再エネの大幅な拡大と持続可能な社会実現のための新たな質的変化を生み出すと結論付けられていました。
激論!意見交換と質問タイム
講義後はグループワークということで、参加者は四人程度の集団に分かれて講義の感想や疑問等をまとめて、和田先生に答えていただきました。様々な疑問が投げかけられましたが、その1つに「地域で事業を起こすとなるとコーディネーターが必要になってくると思われるが、市民レベルではハードルが高いのでは?」といった質問がありました。私も同じようなことを考えており、やはり意見が近い方々も居られたようです。
先生は、『海外では再エネ事業を企画する企業があり市民活動のサポートをするケースもある。つまり市民だけで専門知識を揃えなくとも、そういった団体との協力で量(総数)の増大を図ることが質の変化をもたらす。』とおっしゃられていました。
海外の事例を知ることができたし、総数を増大させていくことが大事であるという回答には大いに納得させられるものがありました。質の内容は多岐にわたり、意義あるグループワークと質疑応答となりました。
終幕!~半日の講座を終えて~
午後5時過ぎ、次回の案内と本日のねぎらいでもって第一回目の自然エネルギー学校は終了しました。自分は初めての参加でしたが、再生可能エネルギーというものを見つめなおす、また新たに発見し考える大変意義ある時間となりました。
和田先生の講義は圧倒的なデータと経験に基づく説明と提案がコンパクトにわかりやすくなされており、知識の深い人からそこまでではない人まで集中を切らすことなく、あっという間の時間が過ぎていきました。
加えてその後のグループワークでは、本当の“市民”としての立場からの質問や、知りたかったがその機会がなかったような質問まで、自分と同じ意見や疑問を分かち合い考えることのできる非常に有意義な時間となりました。
講義でも再三言われていましたが、市民の活動としての第一歩はまず知る、というところからで良いのではないでしょうか。そういった意味では今回のような企画にまず参加してみる、ということが行動を起こす第一歩、そして前述のように参加すれば知識、さらに同じ思いを持った同志と出会うことも可能であり、その先の第二歩、三歩と続いていくと感じました。
再生可能エネルギー100%を目指すには私たち市民レベルからの行動が必要不可欠です。この記事を読んで少しでも興味を持たれた方がいらっしゃれば嬉しく思います。スタッフの方々、参加して下さった方々、ありがとうございました。
この記事を書いた人
- 気候ネットワークに所属されていた方々、インターンの方々が執筆者となっております。
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