6月8日から18日にかけて、国連気候変動枠組条約第64回補助機関会合(SB64)がドイツ・ボンで開催され、私たちインターンはオンラインで会議を視聴しました。今年の11月にトルコ・アンタルヤで開催されるCOP31に向け様々な議題が話し合われたこの会議について、インターンの目線から会議の印象や興味深かった点について紹介します!

SB64の注目点

 SBとは、2つの補助機関の会合(SB:Subsidiary Bodies)によって構成される交渉会議です。毎年6月頃にドイツのボンで開催される補助機関会合は、COPの準備会合として位置づけられており、COPでの合意に向け、ここでどこまで議論を進められるかが重要となります。SB64では、11月にトルコ・アンタルヤで開催されるCOP31に向けた準備会合として、公正な移行、適応、緩和(排出削減)等の議題について各国交渉官が議論しました。

 詳しいSB64の成果については、気候ネットワークのこちらのウェブサイトをご覧ください!

オンライン参加して感じたこと

気候ネットワークインターン・ジュリア

 私は開会式を視聴しましたが、そこでは多くの国の代表が、SB64と気候変動政策全体に関する懸念や意見を述べていました。例えば、ウルグアイ(G77+中国)は、公平性と「共通だが差異のある責任(CBDR)」の重要性に言及するとともに、気候変動対策に関する開発途上国のニーズに対応するための資金が不十分であることへの懸念を表明しました。アラブグループはホルムズ海峡地域の住民の生計や経済的安定を理由に、過度に急速なエネルギー転換に反対する立場を示した一方で、小島嶼国連合は気候変動が生死にかかわる緊急事態であり、1.5℃の目標を堅持することが絶対的に最も重要な目標であるべきだと述べていました。

 開会全体会議を通じて、各国がこの会議で取り組むべき最重要課題として何を考えているかについて、非常にたくさんの気づきを得ることができました。また、それらの国の経済的・地理的・政治的状況に関する私の知識と結びつけることで、各国の懸念をより深く理解することができました。開会式ですら多くの国の意見が衝突していたにもかかわらず、各国の代表者たちがこれを直接取り上げたり、特定の国名を挙げて批判したりする場面が見られなかったのは、私にとって興味深いものでした。このことから、この会議が持つ「協力」という本質をより深く理解することができました。

 代表者たちの話すスピードの速さや専門用語の多さから、発言の内容についていくのは難しかったものの、後で分からないことを調べられるよう、できる限りメモを取りました。全体として、SB64の内部の仕組みを垣間見ることができ、非常に新鮮な体験でした。

気候ネットワークインターン・ディエゴ

 開会式では、各国が最も重要だと考える課題を聞くことは興味深いものでした。パリ協定の実施の重要性については全員が一致していたものの、各代表団が気候変動に対して異なる視点からアプローチしていることに気づきました。

 一部の締約国は、十分な財政的支援がなければ気候政策の実施は困難になると指摘しており、パリ協定第9条1項に基づく資金支援の重要性を述べていました。私は野心的な気候目標は政治的コミットメントだけでなく、各国がそれらのコミットメントを実践に移すための資源を有しているかどうかにもかかっているのだと痛感しました。

 もう一つ私の関心を引いたのが、化石燃料からの脱却に関する議論でした。世界でも最も重要な石油輸送ルートの一つであるホルムズ海峡を巡る最近の緊張は、気候政策が現在の地政学的課題といかに密接に関連しているかを示す良い例だと感じました。

 全体として、最も印象に残ったのは、適応、エネルギー転換、持続可能な開発といったテーマを問わず、ほぼすべての議論の中心に気候資金が据えられていたことです。この経験を通じて、気候変動の国際交渉が単に排出目標の設定にとどまらず、環境目標と開発、資金、そして国際協力とのバランスを図るものであることを、より深く理解することができました。今回のSB64を通して、各国が同じパリ協定の目標達成を目指しながらも、それぞれ異なる立場や優先事項を持っていることをあらためて実感しました。これからもUNFCCCやCOPの議論を追いながら、気候変動の国際交渉についてもっと学んでいきたいと思います。

今後、気になる動きや注目したいこと 

気候ネットワークインターン・今中

 今後は、気候資金とエネルギー転換をめぐる議論がどのように進展していくかという点に注目していきたいです。SB64では、多くの開発途上国が、NDCを提出していても十分な資金や技術移転、能力構築がなければ実施は困難であると訴えていました。資金については「総額」だけでなく、それが本当に必要な国へ届き、実際に各国の適応策や緩和策の推進につながるのかという点も重要です。そのため、新たな気候資金目標(NCQG)の具体的な運用や、国家適応計画(NAP)への支援が今後どのように議論されるのかを継続して追っていきたいです。

 また、化石燃料からの脱却について、特にホルムズ海峡をめぐる地政学的な緊張や産油国の立場を踏まえると、各国がどのような現実的な移行戦略を選択していくのかは非常に興味深いです。各国の立場の違いをどのように調整し、国際協力へと結び付けていくのかにも注目していきたいです。

 今回のSB64を通じて、気候変動交渉は環境問題だけではなく、開発、資金、エネルギー、さらには国際政治まで深く関わるテーマであることを実感しました。そのため、今後もUNFCCCやCOPの議論を継続的に追い、各国の主張や合意形成のプロセスがどのようなものになっていくか期待しています。

この記事を書いた人

気候ネットワーク
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気候ネットワークに所属されていた方々、インターンの方々が執筆者となっております。