みなさん、こんにちは!京都事務所インターン生の大同です。
この夏休みを利用してドイツに行ってきました!
中学生のころに化石燃料の利用が地球温暖化を加速させていること、再エネには様々な種類があることを、そして、高校生の時、エネルギー問題は気候変動と大きく関わっていることを知りました。日本と同じ先進国ですが、日本と比べて再エネ導入率が高く、今年の4月には脱原発も達成したドイツ。文化も政治も地理的環境も日本と異なりますが、環境先進国と呼ばれているからには、一度は自分の目でその街を見たいと思い続けていました。
今回から3回に分けて、環境先進国といわれるドイツで体験したことや感じたことをご紹介したいと思っています。
今回の滞在ではドイツ4都市を訪れたのですが、このブログでは特に「フライブルク」という都市でのことを詳しくご紹介します。
フライブルクってどんな所?
フライブルクはドイツ南西部、黒い森のふもとに位置する、人口約23万人の都市です(写真1-1)。ドイツゴシック建築の傑作といわれるフライブルク大聖堂やその周辺で開催されるマーケットが有名です。そして、都市環境保護キャンペーンや自治体コンクールで何度も受賞しており、「環境首都」と呼ばれています。持続可能な街づくりの先進事例として、毎年世界中から視察団が来るようなところです。ちなみに、愛媛県松山市と姉妹都市を結んでいます。
今回は、フライブルク市のホームページにあった「Green city map」(https://visit.freiburg.de/en/brochures )を参考にしながら、街を周りました。
交通手段
フライブルクの街は、一部の道路を除き、車両進入禁止の場所が非常に多いです。ほとんどの人の移動手段は、トラム、バス、自転車、そしてキックスケーターです。フライブルクに限った話ではないですが、ドイツではキックスケーターで移動している人が多いことにはとても驚きました。坂の多い京都ではなかなか難しいですね…。
そして、トラムやバスには自転車やキックスケーターを乗せても構わないので、車が無くても簡単に街を移動できます。都市同士をつなぐ長距離列車も同様なので、都市を超えて自転車で通勤通学をしているという人も見かけました。またトラムは、写真のように線路が草でおおわれている所もありました(写真1-2)。草があることで音が吸収され、騒音に悩まされることはないそうです。実際に聞き比べてみましたが、草があるところだと、後ろからトラムが通ってきていることに気づかないぐらい静かでした。さらに自転車専用道も整備されていて、一見車が通れそうな幅があっても、「自転車専用道」の標識があるところばかりでした(写真1-3)。日本でもよく見かける「〇〇まであと何メートル」という表示が、すべて自転車基準で書かれている所にも、自転車中心の街であることがうかがえました(写真1-4)。
ソーラーパネルだらけの建物たち
さて、トラムにのって最初に訪れたのは、新市庁舎です。百聞は一見にしかず、まずはご覧ください!!(写真1-5)
側面すべてソーラーパネルです。事前に調べて知っていたとはいえ、実物をみるとやはりすごい迫力でした。これだけソーラーパネルがついているのに、そこだけ浮いてみえないという所にも、太陽光発電が街に溶け込んでいる証だと感じました。
中に入りふと目をやると、不思議な形をしたものを発見(写真1-6)。実はこれ、紙コップなんです。水をいれて飲んでも飲み残しが少なく、使う紙の面積も普通の紙コップよりも少なくできます。日本では見たことが無い形と発想に目から鱗でした!
また、駅前の木造でできた自転車置き場の上にも、スーパーの建物の上にも、会社や住宅の屋根にもソーラーパネルが設置されています。そして、今回宿泊したホテル(Best Western Premier Hotel Victoria)にも、屋上に174枚のソーラーパネルがついていました(写真1-7)。このホテルは屋上のソーラーパネルと風車からのエネルギーだけを利用した、再エネ100%のホテルです。他のホテルと遜色ない快適さ、むしろ再エネ100%というだけで少し気分があがりました。
優れた街づくりの地、ヴォーバン地区
楽しみにしていたひとつ、ヴォーバン地区をご紹介します。ここは、フライブルク市中心街から南に約3km離れたところにある、人口5,500人ほどの住宅エリアです。1990年代初頭まではNATOのフランス軍駐屯地として使用されていましたが、1992年にドイツ連邦に返還されました。その後、軍宿舎だった建物をシェアハウスなどの住宅地として利用する人が増えはじめました。そうした流れの中で、『この地区を、これまでにないまったく新しいタイプの住宅地にしよう』という気運が高まっていきました。今では、太陽光発電やバイオマス発電などを駆使した最先端のエコタウンとして、世界から注目されています。
まず、この地区に到着して感じたことは、緑が多く、静かということでした(写真1-8)。住宅の周りも、トラムの線路も緑でおおわれていました。また、ひとつひとつの住宅は三層構造の窓に、ベランダと屋上に太陽光パネルが設置されていました(写真1-9)。熱を逃さず、日の光を最大限に活かした、パッシブハウスが並んでいました。さらにこの地域は、住宅だけでなく、公園やスーパー、音楽教室、コミュニティハウスなど、ここだけで生活が完結できるようなつくりになっていました。日本では、最近の暑さや安全面の問題から、金属の遊具が公園から消える中、ここでは木製の遊具ばかりで、子供たちも楽しそうに遊んでいる様子が印象的でした。
実際に訪れてみると、住んでいる人がとても活き活きと和気あいあいとしていて、以前気候ネットワークの方がおっしゃっていた「気候変動対策・エネルギー対策は人々の生活を豊かにするものである」という言葉そのものだと感じました。日本では気候変動対策は「生活を制限されるもの」という認識の方が多いという調査結果もありますが、そんなことはないし、このようなコミュニティを日本でも増やしていきたいと強く思うことができる経験でした。
今回は環境首都フライブルクの街の様子をご紹介しました。次回はグローバル気候マーチに参加した様子をご紹介します!
【参考】
この記事を書いた人
- 気候ネットワークに所属されていた方々、インターンの方々が執筆者となっております。
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