こんにちは!気候ネットワーク京都事務所インターンの大同唯和です。
昨年アゼルバイジャンで行われたCOP29にVirtual Observer として参加しました。1月の田上さんの報告に続き、私からも交渉外で印象に残ったテーマについてお伝えできればと思います。
先住民族が語る気候変動の影響
交渉が行われている裏では、毎日様々な記者会見が行われていました。なかでも印象に残っている会見が2つあります。ひとつ目は先住民族による会見です。
いくつかの会見に先住民族の方が参加され、自身の生活が受けている影響について発言していました。私は一昨年のCOP28でもオブザーバー参加しており、その時初めて先住民族の方から直接現地の様子を聞きました。その時に、私は非常に衝撃を受けたことを覚えています。日本もカーボンニュートラルを掲げてやっていますが、その目標は決して十分なものではありません。しかし、実際に直接の被害を受けている人々の生の声を聞き、そんな悠長な姿勢でいてはいけないと、あらためて気候変動の問題に真剣に取り組んでいく必要があると感じたのです。

今年の会見では、「Global south」と「Global north」1という言葉が並んで用いられることが多かった印象を受けました。たとえば、フィリピンの先住民族の方は、自分たちの住居が失われる、あるいは命の危機にある一方、先進国は自分たちの地域の土地を開発していくと話していました。先進国と途上国の意見が対立し、議論が平行線をたどることは交渉でもよくあることですが、会見でも同じことが起きているように感じました。 このような状況で、どうしたら世界が歩み寄っていけるのかという問いに対する答えを出すことは非常に難しいと感じています。しかし、気候変動の被害に直面している声や現状ひとつひとつが心に刺さったことで、今後気候変動対策を考えるときに、今までより少し広い視野で考えられるようになったように感じています。
10代のユースが会見していたこと
2つ目はUNICEFが主催していた「Youth and Children Press Conference」2です。
この会見に参加していたのはすべて18歳未満の子供で、進行を担当していたのは15歳のユースでした。

はじめに発表したタンザニアの10歳のユースは、気候変動によって起こっている多くの影響を話していました。病気にかかる人の割合の増加、降水量の減少による水不足、それに伴い、遠くまで水を調達するために1日6キロ歩かなければならず学校にいけないこと。一方で、再生可能エネルギーで学校に電気が流れたら、夜でも勉強できるようになるため、こうした動きも求めていました。
続いてコンゴから来たユースは、気候変動の影響は特に女性に大きな影響を与えていること、さらには病院に行けず命を落とすこともあると主張し、「Act now(今すぐに行動を)」と訴えていました。生活がままならないことで、教育にも影響していることを主張していました。
また、アゼルバイジャンの16歳のユースは気候変動により夏が長期化し、自国の海抜が急速に下がっていること、それにより外で遊ぶことが難しくなっていると話していました。
パキスタンの14歳のユースは自国が熱波による影響を受けており、将来に向けて対策する必要があること、さらに、シエラレオネのユースは、「安全な水と将来が欲しい」と話していました。
最後にブラジルの17歳ユースからは、「私は9歳の時に、海水温がいつもより高いことに気づいていた」という言葉がありました。家族が先住民族に縁があり、自然と共生して暮らしてきた中で、このユースも幼いころから自然とともに暮らすことが当たり前だったそうです。そんな中、近年の気候変動により洪水や干ばつの被害が顕著になってきましたが、そこに住んでいる人はもっと前からわずかな変化に気づいていたのかもしれません。
このように、10代のユースが求めていることは日本で暮らしていると当たり前にあるものではないでしょうか。しかし、そんな当たり前を求め自分よりも若いユースが真剣に訴えているという事実が非常に心に刺さりました。純粋な真剣さという点が、他のどの会見と比べても私の頭から離れなかった理由だと感じています。
会見の最後には、今年のCOP30で初の子供たちのためのCOP「COP for Children」 を作ろうという発言もあり、子供やユースの声がより反映されていくのではないかという期待ととともに会見は終了しました。
COP29に参加してみて
2年連続でCOPへのオブザーバー参加を経験し、1年目以上に多くのことを学ぶことができました。
今回はパリ協定6条の最終合意がなされ、本格的な運用開始が可能になったことや、気候資金の合意など、交渉においても進展がありました。それだけでなく、交渉外のイベントを通して、世界中の人が集まり、現状を共有したり、新たな取り組みに向けた動きをみせたりと、COPでは様々なことが行われています。
気候変動という問題に対し、世界銃の人々が本気で取り組んでいかなければならないことを改めて実感しました。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
脚注
- Global South=グローバル・サウス。いわゆる先進国
Global North= グローバル・ノース。いわゆる途上国・新興国
地理的分類ではなく、資本主義やグローバリゼーションの文脈を考慮したうえでの社会経済的な分類である。 ↩︎ - UNICEF.(2024). Youth and Children Press Conference.
https://unfccc.int/event/unicef-children-and-youth-press-conference ↩︎
この記事を書いた人

- 気候ネットワークに所属されていた方々、インターンの方々が執筆者となっております。
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